4 このままじゃいられない

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マンションの入口を潜ると、犬の散歩に出て来た男性と出くわした。 表情は多少強張っているかも知れないが、軽く会釈をしてやり過ごそう。 どうせ知らない人だ。 今日はもう、何も考えたくないのだ。 ゆっくり風呂に入って、寝よう。 そう思った時――ワン、と吠えた犬が急にじゃれるように、樹里へ前足を持ち上げた。 思わず、キャア、と声が出る。 犬の方をよく見てなかった。 何かぶつかってしまったかもしれない。 おずおずと犬を見たが、威嚇はされていないようだ。
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