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「お疲れのところに、本当にすみません。ありがとうございました。さぁブンタ、お散歩行くよ」
飼い主の言葉に応じるように、ワン、と元気に返事をしたブンタ。
歩き出した彼らの背に、樹里は小さく手を振る。
それは、逃げ出したい自分の心に、別れを告げるようでもあった。
香澄が嘘を言っていたとしても、千裕にはきちんと聞かなければいけない。
彼女と本当は何があったのか。
ブンタに触れて、落ち着きを取り戻した心。
このままじゃいられない。
気付けば、そう呟いていた。
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