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月曜日のランチ
ヤバい。このままの恰好だと住民に怪しまれて、警察に通報される。夜明けまでに、ずらかるぞ。私は、停めておいたバイクまで疾走した。素早く着替えてホテルに急いで戻る。水平線に昇る朝日が眩しい。
「おはようございます。おや。」
何か言いたそうなフロントの銀縁眼鏡を眼で殺して、部屋に戻った。
お化粧を落として、シャワーを浴び、着替えて、ベッドで眠る。
ゾーンの発動と秘奥義のせいか、眠りが深かった。おまけに、忘れようとしていたアイツの夢を見てしまったではないか。
夢の内容は恥ずかしくて他人に話せない。でれぇ〜、恥ずかしい。
目覚めたら、時計の針は、日曜日の昼の12時すぎを刺していた。朝飯を食べてないから、いつもよりお腹が空いているし、こんなモンモンした気分の時は、やはり美味しいランチだ。それっきゃない。
フロントに聞くと、鬼ヶ城のレストランを勧められる可能性が高いので、やっぱり、食べログだ。検索すると、すぐに出た。意外と多いが、私好みになると限られる。
「これに決めた。」
私は、身支度を丁寧に整えて、バイクをぶっ飛ばした。もちろん、仕込み杖は忘れない。
そのカフェは、イオン熊野の裏手にあった。写真で見るより、お洒落なカフェだな。
1時を過ぎていても、テーブル席は全部埋まっていたが、かろうじてカウンターの隅っこにすべりこめた。
今日の日替わりランチは2種類あったが、私は迷わず鶏の唐揚げとエビフライ定食を選んだ。鶏の唐揚げも大好きで、エビフライは3日は続けて食べられる。
しばらく待つと、目の前にランチが運ばれてきた。まず、サラダの配色にセンスがあり、お味噌の匂いが違う。白いご飯は、お米が立っている、光っている。
さて、メインの鶏の唐揚げとエビフライは、もう最高としか言いようがなかった。
私の下手な食レポはいらない。料理人は、どこか有名なお店で修行したのに違いない。
私は、恵比寿顔でペロリと平らげた。大満足だ。セットのホットコーヒーを飲みながら、余韻に浸る。これで、1000円ピッタリ。
すごいお得な美味しいランチに、私はアイツの夢など、すっかり忘れていた。
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