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第二話
何年ぶりになるのであろうか。
ヨメの膝枕。どう考えてもご褒美である。
ふぅと小さく息を吐き、呼吸を整える。
「何?緊張してるの?」
そりゃしないわけなかろうが。数年ぶりやぞ?なんなら交際していた時以来かもしれんぞ?
「なんで膝枕してなんて口から出たんだろう」
「そりゃされたかった欲求がどっかで溜まってたんでしょ?あなただって男だし」
「そりゃそうですけども。つか、そもそも俺らレスってわけでもないでしょ?だからなんでこんな初歩的でウブなこと言ってるのか自分で理解できんのよ」
「そんなの良いじゃない」
そう言いながらヨメはヒザを両手で叩く。
「ほら、乗らないの?」
「いや、ありがたく乗らせていただきます」
久しぶりにヨメのモモの上に頭を乗せる。
ふわっと鼻腔をくすぐる香りがどこか懐かしい。
「なんか同棲し初めの頃こんなことよくしたっけ?」
新婚の頃を思い出す。
「甘えん坊だもんなぁ。当時は特に」
やめてくれ。確かにそうだけど。
「付き合い長いから違和感無くなってきてるんだろうけど」
「それでも片鱗は見えてるけどね。ここまで露骨なのが当分なかっただけで」
膝枕されながら冷静に分析されてる。
「はい、終わり」
その言葉と同時に頭を掴まれ、膝から外された。
「早くね?」
「よくよく考えたらこれ私にメリットないなと思って」
「課金。天井したんでしょ?」
ウグッと刺された様な顔をしているヨメ。
「それはそれ、これはこれでしょ?」
「それが要因でしょ」
何故か険悪な空気になりかける。
「よし、ルール作ろう。それでなんかあった時はどっちかがするっていうのはどう?」
なんでこんな話してるんだ、俺。
「良いじゃん。乗った」
あ、ヨメも乗り気なんか。
「じゃあ明日決めよ」
「お、おう」
「いくつか候補挙げておいてね」
何故か条件設定の上、膝枕をし合う様な話になった。
いや、どうしてこうなったんだろう。
あ、天井の金額聞き忘れた。
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