第七話

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第七話

 風呂を上がり、用意されたインナーとワイシャツに着替える。  鼻血が噴き出る心配をしながら少し熱めの湯を浴びたが、心配は杞憂(きゆう)に終わった。  しかし、肝心のズボンがない。 「あのぉ……」  少し空いた隙間からヨメに声をかける。 「どうしたの?」 「ズボンがないんですけど……」  ヨメは無表情のままボソっと呟く。 「いる?これからするのに」  その時、俺は思い出した。早朝に一度自家発電してしまっていたことを。  ……いやまぁ今は夜だし、時間空いたから大丈夫だよね?  何故か後ろめたい気持ちになりながら頷き、脱衣所から出た。  下はパンイチ。上はワイシャツ装備済み。  風○ですかここは。 「早く乗りなよ」  ヨメは相変わらずの恥じらいの表情で、自分のモモをポンポンと叩く。  軽く息を吐いてから、ソファーの隣に座る俺。 「それでは、お邪魔します」  風呂上がりの少し湿った髪で、ヨメの膝に頭を乗せた。  制服の薄いスカートから伝わるヨメの温もり。此奴(こやつ)、あえて夏服のスカート選んできやがった。策士だ。 「どう?久しぶりの私の膝枕は」  いやもう最高なんですよ?  喋りたくない。このまま寝かせてくれ…… 「返事してよ。やっぱり私だけ恥ずかしいじゃん」 「いや、こっちも中々に恥ずかしい格好してますけど??」  舐め回すように俺の全身を覗くヨメ。 「確かに。これで外歩いてきてよ?」 「どんな罰ゲームだよ!!」  ふふっとヨメの笑い声が漏れた。 「でも、最高だよ。酔った勢いで言ったとはいえ、なんだか懐かしい気分にさせてくれるね」  彼女の実った果実越しに見える表情は、付き合った当初のような雰囲気があった。 「そうね。お互い忙しくてこういう触れ合いみたいなのなかったもの」 「幸せ貰ってるから、俺も返さないとだな」  またぽろっと余計なことを言ってしまう俺。 「じゃあ、次はあなたが膝枕する番ね?」  えぇ……  まぁ順番で言えばそうなのかもしれないけど。 「わかったよ」  認めないと、絶対後で何かある。 「それじゃ今度条件伝えるからそれまで待ってて」  なん……だと?  確かに、会話の中で指定してしまったのは俺だけど!! 「はい。膝枕の時間終了。もう遅いしベッド行こう?」  ふと見ると時計の針はもうすぐ日付を跨ごうとしていた。 「そうだな」  何故かこの日は二人手を繋いでベッドへ向かった。  もちろんこの後の展開は……言うまでもなかろう。  幸せな2回戦が待っていました。  というかヨメが指定してくる条件ってどんなのになるのやら……  幸か不幸か謎の感情に責め立てられながら、いつもより近いヨメの寝顔を見て安眠したのであった。
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