赤玉

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 けれども世界の禁煙率とは反比例して、世界の人口は初めて減り始めた。  この国に至ってはすでに半減していて、6000万人程度しかいない。  地方の旧市街地は空き家だらけで、景色はひどいものだ。  旧市街地で育った子供たちも、大人になるとシティに移り住みたがり、旧市街地はまるで、ゴーストタウンだった。  シティとは、ただの市街地という意味ではなく、かつてはスマートシティと呼ばれていた、新しい都会の形である。  ところが航は、この廃れたタバコ工場敷地内に、Bタイプのコンテナハウスを設置して、そこに住んでいる。  建築はこの時代、ほとんどがロボットの仕事だ。かつてのモーターハウスに似たようなものが、3Dプリンターで作られた鉄骨とパネルを使って、ユニットとして手頃な値段で売られている。
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