妹への愛をこじらせろ

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「折角だから、中も案内しよう」  兄は書庫のドアを開け、妹に先に入らせた。その後、ニコライも書庫に入り、直ぐに内鍵をかけてみせる。 「使用中はかけておくと良い。邪魔が入らないし、盗難も防げる」  その指示を妹は受け入れ、青年は更なる説明を加えた。 「明かりは、センサーで勝手に点く。だが、そうでない場合は僕に言え。直ぐに対処する」  青年は書庫の壁に沿って歩き、少女は何も言わずに追い掛けた。 「書架の横にジャンル分けのプレートはあるが、それだけだ。並べ替えたいなら並べ替えて良いが、ジャンル分けだけは守ってくれ」  妹は兄の願いを聞き入れ、ニコライは椅子と机の置かれた場所まで移動する。 「同じ場所に戻す自信がないなら立ち読みも良い。だけど、そうでないなら座って読め。椅子の高さが合わないなら、これも言ってくれ。直ぐに対処する」  ニコライは椅子の背もたれを撫で、少女の目を見た。 「さて、書庫の説明はこれ位かな? もし何か不具合が合ったら昼食の時に聞こう。それまでの行動は自由だ。ただし、念のために施錠だけはしっかりしておけ」  ニコライはそう告げるなり書庫を出た。一方、妹は指示通りに内鍵をかけ、書庫を見て回った。書庫は広く、様々な年代の様々な国々の資料が集められていた。その資料の豊富さに少女は目を輝かせ、背表紙に書かれたタイトルを読むだけで時間は過ぎていった。
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