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理由はどうあれシスコン的な
「成る程、屋敷で読んだ記録と同じ症状だ」
病室を訪れた若者は、少女が座るベッドの横で腰を折った。
「若くしての透き通る様な白髪。薄い光彩。それも、発作が出た際に変色する」
ベッド横に立つ者は、少女の前髪をゆっくりと掻き上げ、左右で異なる色の瞳をまっすぐに見る。
「これは、検査結果が楽しみだ」
訪問者は少女から手を離し、冷ややかな笑顔を作ってみせた。
「貴方は一体」
「さあ? 多くの人にとっては悪魔だろうし、君の遺伝子次第では……いや、これ以上はまたの機会にしよう」
訪問者は、謎を残したまま立ち去り、少女は病室のドアを無言で見つめた。それから数日が経ち、若者は病室を再度訪れた。
「手続きは済ませた。君には、然るべき治療を受ける権利がある」
若者が言った時、病室の外から車椅子を押してやってくる者が居た。その者は、若者と同じ年頃で、髪や服は真っ黒だった。
「詳しいことは移動中に話そう。先ずは車椅子に乗ってくれ」
突然の申し出に少女は戸惑い、病室を見回した。しかし、彼女がそうした時、部屋に他の患者や医療関係者は見当たらなかった。
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