『あなた専用線』

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出勤のため電車待ちをしているといつものアナウンス。 黄色い線の内側に~ってやつ。 ただ、その時は違った。 黄色い線のさらに内側にお下がりください。 さらに?よく見ると黄色い線の内側にクレヨンで引いたような線があり、 『こんなんありましたか?』と隣の人に聞くと、 『あなたにも見えるんですね。これはねあなたのための専用の線です。 つまり簡単にいうと親の引かれたレールですよ。 楽ですよね。親の引いたレールを歩いてれば何も考えないですみますから。 ただ…レールをはみ出しちゃうとちょっとまずいんですがね… ほら、あんなふうになりますから…』 引かれた線の向こう側を見てみると、 男が立っていて、 何やら騒いでいる。 『俺は、親の引いたレールなんかもうまっぴらだ!いっそ自由がないなら死んでやる!』 そう言って、線路に飛び出した。 そこに電車が来て、あっという間に男の体は消える。 『あ~あ、かわいそうな人だ。 親の引いたレールの上を歩いていればいいのになあ まあ親の理想通りにいつの間にか生きてる自分が嫌になったんだろうね』 俺もまたあいつみたいに親が敷いたレールの上を歩いているのだろうか。
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