役者魂

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1 「ストップ!」  その一喝で、私は演技を止めた。  不安を抱えながら先生の前に立つと、先生は大きな眼でギョロリと私を睨んだ。 「あなたは誰ですか?」  心臓がキリキリと音を立てる。 「赤羽さくらです……」  ビクビクしながら、自分の役名を答えると、先生は手元の資料に視線を落とした。 「あなたが考えてるさくらちゃんは、いったいどういう人物ですか?」  私は悩みながらも、自分なりの考えを伝えた。 「明るくて、活発的で……スター性もあって、笑顔が可愛いくて……」 「そうだよね」  一層低い声が響く。  私は何も言えなくなってしまった。 「最初からやろうか?」 「は、はいっ!」  先生は具体的な指示を出さず、何回も何回もやらせて、問題点に気付かせるスタイルを取っている。まだ何も掴めていない私にとって、それは終わりのない拷問にも思えたが、無名の私が表舞台に立つためには努力をするしかない。  すべては一人前の役者になるため。  私は闘志を燃やした。
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