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「今朝寝坊しちゃって、朝ご飯まで美憂が用意してくれたの。お母さん、信じられる? あの美憂が、毎日ご飯作ってくれるんだよ! まだ買ってきた惣菜が多いけど、少しずつ手作りのおかずも作ってくれてるの」
念入りに手足をマッサージをしながら、努めて明るく声をかける。
「明日は美憂とお父さんが来るよ。2人とも、1週間ぶりにお母さんに会えるの楽しみにしてるんだよ」
昨日の夢を払拭するよう、早く目を覚ましてと願いながら。
「お母さん……お母さん……」
——これは夢だ。昨日の夢の続きに違いない。
「あんたが何かミスしたんじゃないのか?」
母にすがりついて泣く美憂。先生を怒鳴りつける父。それは、昨日見た夢と全く同じ光景だった。ここに至るまでで違うことと言えば、昨日は家にいた時に電話が鳴ったけど、今日は電車の中で電話が鳴ったことくらいか。
いつもと同じようにしか見えない母の顔を見下ろしながら昨日との差異に意識を飛ばしていると、急に目の前が暗くなってきた。
——めまい? 貧血?
上手く回らない頭を回しているうちに、いつの間にか意識を失った。
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