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高校2年生ー紹介
【クリスマス– 親に紹介】
前期期末試験も終わりクリスマス、2人にとって初めてのクリスマス。
去年はどうしたか聞こうと思ったけど、あいつと一緒だったろうから聞くのをやめて、家族と何かやるのか聞いてみた。
・・・やっぱり、あいつと一緒だった・・・・純が言いづらそうに、去年の話をするから、大丈夫、気にしてないから、そうじゃなくて 『うちの親と妹に紹介したい』と伝えると、ようやく顔に笑みが。
2人だけでクリスマスと思ったけど、まだちゃんと家族に紹介していないし、純の両親にも挨拶していないからという事で24日と25日は2人で純の両親と俺の両親に挨拶しようという事になった。
今年は24日が金曜、25日が土曜で、純の両親は2人で会社勤めのため土曜が都合が良いとの事、俺は母親に純を紹介したいから24日の夜に、と伝えところ、後から父親もその日は早く帰ると言ってくれた。
純は、母親は快諾してくれた、と言われ、24日の夜は俺の家、25日は純の家にという事になった。
24日、それぞれ1度家に帰り、バイクで純を迎えに行く、ピンポン、純と母親が出てきた。
純の母親に会うのは初めて・・「はじめまして、高谷と言います。」
「はじめまして、純の母です。高谷君の事は純から聞いてます。明日は高谷君がうちに来るのね」
「はい、よろしくお願いいたします」
「じゃあ、今日はしっかり純をサポートしてね、それと高谷君のご両親によろしくね」
「はい」
さすが純の母親だ、純に似てる。
とてもきれいな方、おまけに、ずーっと仕事をしているということもあるのだろうけど、どこかしっかりしていて、言う事が的を得ている。
ありきたりな “あら~すてきな彼氏ね、お似合いよ、よかったわね、・・・・” も大事だろうけど、それより大事な事。
俺がしなければならない事は純のサポート、純にとっては初めて会う人、それが彼氏の両親、純が緊張するのは当たり前、知っているのは俺だけ、頼りになるのは俺だけだ、しっかりサポートしなければ、そういう事をサラっとさりげなく言ってくるところなんて『あの村井さん』、の親だ。
俺と接する時の純は少々ヤンデレだけど、それ以外は、俺と付き合う前の、俺に対する村井さん。
上からだけど、グイグイ責める強い村井さんはこの母親の血なのだろう。
今日を乗り越え、明日は純の両親に俺を認めてもらう。
俺はその事を認識し、純をバイクに乗せて家に向った。
純は女子らしくスカートをはいていたが、バイクに乗るので、スカートの上から、俺が持ってきた雨用のオーバーパンツをはいてもらった。
玄関の前、やっぱり純は緊張しているようだ、だから 「純、俺がついてるから、いつものようにしていれば大丈夫」そう言うと、純は「ありがと♡」とにっこり俺の唇にキスしてくれた。
学校で見る純になった。しっかりして、大人びて、それが俺の彼女。
うちの両親に会う、うちの親も緊張しているみたいで、最初はお互いが敬語でありきたりな挨拶と会話、そこに妹が2階から降りてきて、純が妹と話し、俺が加わり、やっと砕けてきた。
母親が「克己が彼女を紹介したいって言うから・・・そうしたらこんな美人でしょ、最初は緊張しちゃって、でも純さんってしっかりしてるのね、克己みたいなお子様で大丈夫かしら」
「いえ、克己さんはしっかりしていて、私は何度も助けてらいましたし、受験勉強の仕方や予備校も紹介してもらい感謝もしてます。私にはもったいないくらいとても素敵な彼氏です」
「あら、そう? そうなら良かったわ」・・・・の会話がされて、皆で一緒に晩御飯を食べ、純は普段から妹と2人で家事をしているから、後片付けを手伝うと言ったけれど、今日は特別だからと言って断られたので、その後、俺の部屋に来た。
純にとって初めての部屋「かっちゃんの部屋だ~」そう言ってベッドにダイブ、「かっちゃんの匂いがいっぱい」そう言って枕にスリスリ,目の前でされると・・・照れる。
俺も一緒にベッドに横たわり・・・キス・・・・でも「きょうが我慢する」
「うん、我慢する」そう言ってキス・・・・・なんとか2人そこで留まって、ベッドに座り直し、俺の部屋を見渡す。
「かっちゃんの部屋ってラブコメやアニメ関係の物があるんだ」
「うん、結構好きで、息抜きに読んでるんだよ」
「そういえば、菅井君、それと土屋君だっけ とよく話しているものね」
「うん、あの2人はプロ、俺はあいつらほどじゃないけどね」
「ふ~んそっか、私もラブコメ読もうかな~」
「まあ、息抜きになるならいいんじゃない、でも俺に合わせようと無理はしないで」
「うん」
そうこうして、純を送っていくと言って、バイクで純を家まで送り、「じゃあ明日ね」
「うん、頑張るよ 」 と言ってキスして帰ってきた。
家に帰ると母親が「純ちゃんってモデルとかやってるの?」
「いや何もしてないよ」
「すっごい美人よね、背も高くてスタイルも良さそうだし、普通の高校生に見えないわよ」
「うん、そうだよね」
「大丈夫?」
「何が」
「あんな美人さんだから、他に彼氏ができて振られちゃうんじゃない?」
さすがにもう深~い繋がりがあるとは言えなくて、純が俺にべったりと言ってもおそらく信用してくれないだろうから、
「まあ、大丈夫だと思う」
「しっかりするのよ」
「うん、わかってる」と言って、その日は終わった。
ちなみに父親はほとんど話さずニコニコ、言った言葉は「息子をよろしく」だけでした。
次の日、いよいよ純の両親に挨拶
///////////////////
一応進学校、昔から土曜も午前中まで授業がある。
今から緊張しては、思うけど、・・・全然授業が頭に入らなかった。
午前で終わりなのに、とても長く感じ、やっと学校が終わって急いで家に帰る。
夕方に純の家に行く前、服装とか髪型とか・・・・気になって何度も鏡をみて・・・
ちょっと早いけど家を出る。
着いたら約束の時間より2時間も前だった。
どうしようか・・・・純が家から出てきたので、俺が来たのがわかったの?って驚いていたら「バイクの音がしたから、来たのかなって思って外にでたらかっちゃんがいたの」そう言って、俺の口にキス。
最初の頃は頬にキスだったのが、最近は何かあると唇にキス・・・・うれしいんだけど、ちょっとハズカシイ。
「ちょっと早いけど、大丈夫、入って」手を引っ張られながら、家に、そのままリビングに通されると、父親がソファーに座って、母親はキッチンで料理の最中、
「おじゃまします」、母親はキッチンから「いらっしゃい」
妹が2階から降りてきて「こんにちは」って挨拶してくれたけど、父親は無視・・・。
純は「こっちに座って、今コーヒー淹れてくるから」と言ってキッチンへ、1人気まずいけど。言われたとおりに座ってじーっとしている。
純の父親と純と俺・・・妹が降りてきた・・・・でも沈黙。
母親が一段落したようで、リビングに来て、父親の横に座る。
「はじめまして、私、純さんとお付き合いをさせていただいている、高谷克己と申します。
純さんとの交際を報告するため、ご両親にご挨拶にお伺いしました」
「フフフ、そんなに硬くならなくても大丈夫よ」
「はあ」
「ほら、お父さんも何か言ったら?私は昨日会ってるけど、あなた、初めてでしょ?」
「ああ」
「ごめんなさいね、純が彼氏を連れてくるの初めてだから」
「はい」・・・こういう時は何を話せばよいんだろう。
「純が彼氏を紹介したいっていうから、びっくりしてるのよ、うちは娘が2人でしょ、父親はもう大変なの」
「今日は顔合わせ、っていう事でいいでしょ、ね、あなた」
「・・・・・・」
「あ、いや、でも・・・」俺はちゃんと親公認で正式に付き合いたいと言いたかったけど、
「わかってるわよ、純から聞いてるから、大丈夫よ」
「はい」
純がにっこり、こっちを向いて頷いてくれたので、純の母親は、この場でお義父さんの神経を逆なでする事を避け、俺が真剣に純と付き合ってることを承諾してくれた。と俺は解釈し、純を見るとニッコリ頷いてくれたので、ほっとしてコーヒーを1口飲んだ。
かなり緊張して何を話してるか、その時は全然頭に入ってなかったけど、ようやく落ち着いて、母親の言っていた『初めての彼氏』・・・って言う事は前カレのあいつは挨拶に来ていないんだ、それとも純が呼ばなかったのか?
両親は仕事で夜遅いから、会わなくても付き合う事はできるし・・‥‥野球部のマネージャーの事は知ってるのか?とか、そもそも前カレのあいつのことは知ってるのか?・・・気になる事が頭の中を駆け回っていた。
「私たち、毎日仕事で遅いから、純達とあまり話をしてなかったの、それが純から話したい事があるって言って来たから、何があったのかな?ってね」
「そうしたら、高谷君の事で、もう、純が一生懸命話すの、びっくりしちゃったわ、たいていのことは、純と恵の2人がしっかりやってると思っていたけど、彼氏の事をわざわざ言ってくるなんてね~、よっぽど気に入られたのね」
「はい、ありがとうございます」
「純の事、よろしくね」
「はい、よろしくお願いします」
この場は全部お義母さんが仕切って、結局父親は終始無言で終わった。
「じゃあ、ご飯にしましょうか」
皆で食事をして、最後にコーヒーとショートケーキ。
純は、前カレの話もしたらしく・・・あの話はしなかったみたいだけど、俺と純の間で解決していれば問題ない。
俺とのことも最初のころから話したみたいで、俺が話さなくても、十分にわかってもらえた。
父親の事(機嫌)が気になるので、この日は純の部屋に行かず、そのまま帰る。
帰り際、純にクリスマスプレゼントと言って、バイクの後ろに積んでいた箱から小さな箱を出して渡した。
「本当は2人きりの時、ちゃんと渡したかったけど」と言ったら、
「ううん、いいの、ちゃんと両親に挨拶できたから、来年はそうしようね」と言って純もプレゼントを渡してくれた。
始めてのクリスマスは、普通のカップルのクリスマスではなく、お互いの両親との顔合わせだから、まあ2人ちゃんと付き合うんだから、それが一番大事、という事を純も思っているみたいだから、良し。と思った。
普通、目の前でお互いにプレゼントを開けて、喜んだり、お礼を言ったりするんだろうけど、2人、ウンと頷いて、そのままプレゼントを開けず、キスをして帰った。
俺が純にあげたプレゼントは、勉強の時に髪がじゃまにならないようにと思い、カチューシャとシュシュ等の詰め合わせ。
妹に、『とにかく美人でモデルみたいで8.5頭身くらいの大人っぽい女性に似合うもの』、と言って手伝ってもらい、ネットで、色々見てもらって買ったけど、まあ純なら何をつけても似合うだろうけど。
純は俺に、ドイツ製の製図用のとても書きやすいシャープペン。
実は、高校入学の時、親が入学祝で同じような製図用のシャープペンを贈ってくれた。グリップの感覚や芯の先端部分がとても書きやすい感じだったけど、実際に書いてみると重くてしっくりこないので、そのまま引き出しの中だった。
でも純がプレゼントしてくれたシャープペンは同じ製図用だけど、軽くてグリップも芯の部分もとても良い、ちょうど良い物があったらしくそれも2本セット。
使っている最中に芯がつまったり、なにかトラブルが起きた時、すぐもう1本出せるようにと考えて2本にしてくれた。
次の日、「考えている事は一緒なんだね」と2人してニンマリ、お互いの思いやり、それが実感でき、好きすぎて・・・・・。
【クリスマスの次の日~初詣】
妹との仲は悪くはないけど、良くもなく、普通の会話をする程度。
お互い何かあれば相談もするし、でも普段はそれほど干渉しない普通の兄妹。
純を紹介した日の次の次の日曜の晩御飯の時
「お兄の彼女ってすっごい美人だね、お兄が告白したの?」
「いや~、純が告白し始めたから、びっくりして、だから、話の途中で俺から告白した」
「へ~、そうなんだ、でもわかる、彼女、お兄のことすごく好きみたい」
「そっか」
「うん、よかったね」
「ああ」
「あれだけ美人だと大変だけど、がんばって」
「ありがと」
普通の兄妹の会話。
母親はそれを聞いて
「あんな美人が、克己に告白してきたの?」を聞いてすごく驚いて、
「うん、でも最後は俺が告白したようなものだよ」
「あれだけの美人だと、学校じゃあ大変じゃない?純ちゃんって、学校じゃどんな感じ?」
「あー、いつも決まった男子が囲んで、毎日のように誰かが告白してる」
「あら、克己が一緒にいるんじゃないの?」
「ああ、大騒ぎになるからまだ皆には公表してないんだ」
「そんな事で大丈夫?」
また、同じ心配をしてきたので
「彼女、しっかりしてるから、大丈夫だし、もう少ししたら公表しようと思う」
「そう、それならいいけど、ちゃんとするのよ」
「うん」
「ねえ、父さんはどう思った?」
「うん、いい娘だと思ったよ、でも、あれだけの美人だから、克己がしっかりしなきゃいけなよ」
「うん」
月曜日、純がそのカチューシャをしてきたことから、それが「似合ってる」「かわいい」の嵐の中で純がクリスマスプレゼントでもらったと言ったら、案の定「俺なら・・・もっと似合うものをプレゼントしたのに」とか、まあ他の連中同様お断りされるだろうけど、対抗する奴いるんだよ、
でも「私、これが一番欲しかった」って、でへへへ。
俺はまんざらでもなくにんまりしていたら、隣の女子から「どうしたの?」と聞かれ、あわてて「いや、なんでもない」
そういう俺もしっかり、シャープペンが新しい。
あと数日すれば、冬休みだけとなった。
俺は相変わらず、毎日朝、純の家に行き、一緒に学校へ、帰りは一緒に純の家、時間があれば純の部屋にあがって、1つになって・・・・・・愛し合う。
そうして帰るのが当たり前になっていた。
冬休みに入っても、朝、純の家に行き、一緒に予備校へ、帰りに武村と3人でバクドに行ったり、そのまま帰って、純の家からバイクで帰る。
3人は高校2年だけど、冬休みは予備校中心の生活をしていた。
それでも、学校は休みだから時間に余裕はある、ちょっとした時間があると純とショッピングモールに行ったりデートも楽しんでいる。
大晦日はそれぞれ自分の家ですごし、1月2日に初詣に行くことにした。
本当なら、恋人と初詣、2人とも着物・・・なんて考えもあったが、そこはまだ高校2年、混みあってるところを2人で歩くことを考え、3日から予備校もあるし、動きやすくて疲れない恰好ということで、普通に私服で行くことにした。
朝早く純の家に行くと、純がお出迎え、そのまま一緒に家に入り、新年のご挨拶、やっぱりお義父さんはむっすり、お義母さんと純、妹に非難され、なんとか挨拶を終え、初詣に行く。
武村を誘おうか、相談したところ、武村は親の会社の関係の人達との新年会があるらしく、2人だけで行くことになった。
都心の大神社ではないけど、地元では大きな神社、結構な人込みなので、しっかり手を握って、手を清める手水舎は列から離れているので、皆も省略しているみたいだからは、今回はそのまま並んで、順番がきたら、お賽銭をあげ、お祈り。
列からはずれ、学業のお守りとおみくじ。
純が真剣にお祈りしていたので「何をお祈りしたの?」と聞いたら
「ひ・み・つ」
「そっか」
「うん」
なんとなくわかったので、
「ありがと」
純はニッコリして、
「かっちゃんは?」
「同じ」
「一緒だね、ありがと♡」
最近はお互い、話さなくてもなんとなくわかる、それがうれしい。
今日の初詣のこの会話が2人の仲の深さを実感した一番の収穫。
おみくじは純が中吉、俺が末吉でこんなもんか、って2人で頷いて、結び所に縛って帰ってきた。
正月早々、強行スケジュール、神社を出てすぐにバイクで俺の家に、そのまま俺の両親に新年のあいさつ。
うちの親は有名人が来たかのように大はしゃぎ。
お雑煮とかおせちとか、・・・どこの家でもあるだろ。
今からそんなに料理だしても食べられないだろ。
純も正月は家に家族がいるんだから、晩御飯は家族皆でたべるんじゃない?
純を守りましたよ、お義母さん、我が家の中は大騒動でした。
冬休みの後半は予備校の冬季講習があり、俺達3人は正月ボケになることもなく、後期の授業が始まり、いつもの学校生活に戻る。
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