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高校2年生ー正式にご両親にご挨拶
【両親にお願いのご挨拶】
さっそく、日曜日の朝、純の家にお伺いして、ご両親にご挨拶しなければ。
今日は純の両親に大学にうかったら婚約させてください。とお願いに行く日。
しかし、服がない。
高校生だし、学校は標準服はあるけど、ジャケットというより99%制服、女子は皆標準服を着てるけどし、だからジャケットなんてもってない。
純に聞いたらそんな事気にしなくてよいって言うし、だから母さんに相談した結果、ダウンの下は、ボタンダウンにカーデガンで、ウニクーのウールライクパンツ、最近純とデートする時の恰好。
純があの顔であのスタイルだからとても高校生には見えない、だから俺は、普段はジーンズやチノにパーカーやフリースだけど、ウニクーでウールライク暖かアンクルパンツを2種類買った。
実はこの時、ジャケットも買おうと思い、試着して鏡を見ると・・・なんか変・・・。
着こなせていない・・・でもそれだけじゃない・・・。
そうだ、これってただの標準服を変わんない、高校の制服ってこんな感じ・・・
つまり、ジャケットにパンツはかえってガキに見える。
ジャケットにチノやジーンズ・・・社会人のビジカジのようにしても俺みたいな高校生はキマらない・・・やめた。
シャツにカーデガンの方が地味だけど誠実・真面目な大学生くらいに見えるので、シャツとカーデガンを買った。
でも、いつもながらこのパンツ、バイクの運転には不向き・・・・・・寒い。
純の母親と妹には、純が事前に伝えているから、だいじょうぶだろう。
問題は父親、クリスマスの時はほとんど話さなかったし、この前も怒ってた……。
緊張してピンポン、ニコニコしながら純が出てくれた。
「かっちゃん、おはよ」そう言って唇にキスをしてくる。いつもいつも思うんだけど、こういう時って頬じゃないかな?
という顔をしていると
「ううん、私とかっちゃんはこれでいいの」
そっかと納得して、純の後ろをついてリビングに入って行った。
「おじゃまします」そう言って入ると、長ソファーにはムスッとした父親と無表情の妹、
母親はキッチンに、後ろの純はニコニコ、緊張が走る。
母親が「あら、高谷君、いらっしゃーい」と言って、早々とお茶を持ってきてテーブルに置いて、リビングの長イスの父親の隣に座った。
俺の座る席はその向かいで、隣は純、最初立ったまま「よろしくお願いします」と言って座り、かあさんが持たせてくれたお菓子を、「あの つまらないものですが、よろしかったらお召し上がりください」と言って、渡す「あら、これはどうも親切に、ありがとうございます」と言って母親がそれを受け取る。はずなのに、父親が「つまらないものって、つまらないもををもらっても‥‥‥」
えっ?それって挨拶定型文句じゃないの?昨日、母さんに教えてもらって練習したのに、
そうしたら、純のお母さんが「もう、お父さん!そんな事言うんじゃありません!」
妹が「お父さん、何バカ言ってるの」
純が「かっちゃん、あんなの気にしないでね」
この家の父親のポジションは前に挨拶に行ったときわかってはいたけど、相変わらずでちょっと緊張が解けた。
でも、純との事=お願い、をすぐに言った方が良いのか、少し雑談をしてからなのか・・・母さんに聞くのを忘れた・・・。
考えながら、でも回りからは緊張して黙っているように見えたのかもしれない。
「かっちゃん?大丈夫?」純に俺を気にしてくれ
「うん」とりあえずそう答え、父親がおもむろに
「高谷君、この4月から3年だけれど、将来の事とかは考えてるのか?」
急にそんな話・・・・
「お父さん、何言ってるの?」純が怒ってる。
黙って答えないのもまずいかと思って
「先の将来の事はまだ考えてませんが、来年は受験して大学に行こうと思ってます。
大学に行ってから、、何をしたいか考えたいと思います。」
そうしたら
「考えてないのに、とりあえず大学に行くのか?」突っ込んでくる。
「はい、少しでも選択肢は広い方が良いかと思いますから」
純のお母さんが助け船をだしてくれた。
「じゃあ、あなたはどうして大学に行ったの?高校生の時から今の仕事に付くために大学に行ったの?」
「いや、まあ……」
純が
「お父さん、何でかっちゃんにそんな事言うの?」
お義母さんが、
「純、気にしなくていいから、お父さんは、高谷君が何しに来たか知ってるから、それがイヤなのよ、気に食わないだけなの、そうなんでしょ?」そう言って、お父さんの方を向くと
「いや、そんな事はない」
妹が、「お父さんは、私にはしないのに、お姉ちゃんにだけそうするんだ」
「何言ってるんだ、お前はまだそういう彼は連れてきていないだろ」
「いっちゃんにはそんな事言わないじゃない」
「えっ? 一郎君は幼馴染じゃないか」
「お父さん、知らないの?」お義母さんと純がハモッた。
「何?」理解できていない声
俺はそれを聞いて「ぷっ」と吹き出してしまい。
お義父さんは「何?!」と俺をにらむ
「すみません」と謝る。
「かっちゃん、いいから私の部屋に行こう」
「いや、それは」と言うと
「お父さん、こんな事ばっかり言うなら、もう私何があってもお父さんには言わないから」
「純、そういうつもりはないんだ、ただ……」
「ただ、って、何よ」
「純、お父さんがダダこねてるだけだから、そんなにいじめないの」とお義母さん。
「だってー」
「ほら、お父さん」
「うん、克己君、純は見たとおりだから、普通以上にちゃんと守っていかなければならないのはわかるね」
「はい」
「中途半端な気持ちじゃ純とは付き合えない」
「はい、わかってます」
「覚悟ができているかな」
「はい、純さんとは将来の結婚まで真剣に考えてます。」
「そうか……」最後が聞き取れないような小さな声で……
「はい、ありがとうございます」
なんとか話はできた。と思ったら、
今度は
「あの~恵、一郎君とは……」
「彼氏よ」「彼氏」「うん」3人で綺麗に連携された返事。
さらに追い打ちをかけるように純が
「恵は将来の武村建設の社長夫人よね」
「もう、お姉ちゃんったら」
「何~?」
お義母さん、純、恵ちゃんに向って
「武村はそういう所ちゃんとしていそうだよね」
と俺が言うと
「君は一郎君の事を知っているのか?」
と言ってギロっとにらんだ。
まあ、今のあの武村の知り合い、っていう事は俺の素性を怪しむかもしれないな~と思ったら
純が「いっちゃんが、大学行って、会社を継ぐって言ったのはかっちゃんのおかげなんだよ」
「いやいや」
「そうなのか?」
「うん」と純が答え、
「本当に高谷さんには感謝してます」と恵ちゃん
「……」お義父さんが黙り込む
「まあまあ、克己君は、うちで晩御飯食べるわよね」
と純の母
「はあ」
「もう、私達、もう家族なんだから一緒に晩御飯食べよ」と純、
「うん」と純に言ってお義母さんに向って
「はい、それではご馳走になります」
「じゃあ 純の部屋でも行ってお話でもしていたら?」
「うん、そうする」
そう言って純が俺の手を引いて、純の部屋に行く、いつも通ってる部屋なんだけど、何故か今日は新鮮だった。
部屋に入り、いつものようにベッドに腰掛ける。
「なあ、婚約って言わなかったけど、大丈夫かな~?」
「うん、将来、私と結婚まで考えてるって言ったでしょ?」
「うん」
「じゃあ、大丈夫」
「そっか~」
「うん♡」そう言って俺にキスしてきた。
そのまま、なが~い恋人キス、唇が離れて、純がうるうるした目で俺を見る・・・
「純、まずいよ、俺、止まらなくなっちゃよ」
「うん・・・私も・・・でも・……」純の瞳がうるうる・・・
純の顔がだんだん下の方に・・・えっ?・・・飲んだ?・・・そんな・・・あいつは純にそんな事をさせていたのか・・・驚きと嫉妬がそれに快感も入り混じって……
ショックが一番大きかった。
事が終わってただ茫然としている俺に向って、顔を真っ赤にして、「なんか変だね」
「‥‥‥」
「どうしたの?」
「‥‥‥」
純は俺が何を考えていたのか察すると、慌てて、
「違うの、初めて、かっちゃんが初めて」
俺は純を思いっきり抱きしめて
「ごめん、俺、嫉妬してた」
「ごめんね、急にこんな事しちゃって、ごめんね」
「俺こそごめん、気にしてないって言っておきながら嫉妬するなんて、ごめん、うれしいよ・・・・・・純にこれしてもらうのうれしいよ、すっごい興奮した」
「うん」悲しそうな声、純は前カレの事を俺が気にするのではとかなり神経質になっていて、俺が、あいつとケリをつけた時、純を傷つけてしまったことが原因なんだけど、・・・また俺がやってしまった。
「純ごめんね、でもね、すっごい興奮した・・・俺、もう純の奴隷だよ」
「ほんと?」
「うん」
「そうよね、かっちゃんは私の物なんだもの」
「うん、あのね・・・今度もしてほしい」
「えーっ……うん……」
純の顔が真っ赤になってる。
【ついでにうちの親にもご挨拶】
しばらく抱き合ったままでいると、下から、「純、ご飯よ~」とお義母さんの声、
「はーい」
そう言って、2人離れて、服を整え、かるくキス、純の後についてリビングへ。
今回で2回目の、純の家族と一緒の晩御飯。
「ほんとは、2人の婚約の前祝い? なんだけどね、まあ普通に食べましょ」
そう言って5人で食事、食事をするのはまだ2回目、それほど話すことはなく。
うちの親もそうだったけど、純の母親も『普通に食べましょ』だった。
おそらく、母親は、ある意味冷静に、2人はまだ高校2年、純は初めて人を好きになったから舞い上がっている、大学生になったら、それぞれ別のサークルや色々な集まりに参加して、そこで新しい出会いがあるかもしれない・・・そうなると・・・高校生カップルは大抵・・・。
少なくとも、今は2人とも本気で好きあっているから、そのままうまく行ってほしいとは思っているが、すべての成り行きを考え、温かく見守ろうと思っているのだろう。
ただ、俺は大学生になったら村井さんみたいな恋人・・・と思っていたのが高校2年で本物の村井さんに巡り会えた。
だから、本気の俺は、来年1年間は、純と受験勉強 にかける。
純がただ舞い上がっているだけなら、他に好きな人が・・・・という心配はないわけではないけど……。
今ここでいくら頑張っても変わらない、大学に受かってからじゃないと、始まらない と思った。
さかのぼるけど、金曜日の夜、純を連れて、俺の母親と父と妹と5人で晩御飯を食べたとき、
将来、一緒になる、という報告をした。
母親は「純ちゃん、いいの?こんなお子様で、もっといい人ができたらふっちゃっていいんだからね」
息子を卑下しすぎ、まあでも、うちも妹がいるので、娘の親の方が大変だというのがわかっているから、純にそう言うんだろう。
金曜はそんな感じで難なくうちの両親の挨拶を終え、今日、純の両親にお願いの挨拶を終えた。純の家の前でおやすみの挨拶(キス)をして帰ろうとした時、純が、「ちょっといい? 」
「何?」
「その道の向こうの角のところに公園があるんだけど、ちょっと話さない?」
「うん」そう言って、純の後ろをついて行く、どうしたんだろう?『純が話さない?』って。
3分ほど歩くと、いかにも昼間、母親が幼児を連れて和んでいるような小さな公園があった。
純がそこのベンチに座り、俺を横に座るように、手でベンチの座面をポンポン、俺は純のとなりに座る、真冬のこの時間、かなり寒い。
向こう側に自動販売機の灯が見えたので「ちょっと待って、純は何飲む?」
「ホットレモンとかあるかな」
「うん」自動販売の商品を見て
「ないよー」
「じゃあ、ミルクティ」
コーヒーとミルクティを買って、純の横に座り、ミルクティを渡すと2人で、プシュ。
ゆっくりと、『あの村井さん』の口調で話し出す。
「私、そんなに舞い上がっているように見える?」
「ん?」
「私ね、初めて人を好きになったじゃない?」
「うん」
「かっちゃんがこの前、恵に聞いてたじゃない」
「うん」
「かっちゃんも恵も、私の事、……言ってたでしょ」
「ああ」
「お母さんも、そう思ってるよね」
「うん、そうだね」
「私、かっちゃんの前だと、こうなっちゃう、いつもの私と違うよね」
「ああ」
「私がこんなんで、それに2人ともまだ高校2年だもの、そう見られてるんだろうなーって」
「そうだな」
「今のままじゃあ、私の本気は伝わらないだろうなって 」
「そう思う、俺がいくら真剣に言っても、高校2年生のお付き合い。くらいにしか見られないんだろうな、って思う」
「うん、でも、私は違う、舞い上がっているかもしれないけど、うかれてるんじゃない、しっかり考えてる。私はかっちゃんと一緒になる」
「ああ、俺も、高校生のお付き合いじゃない、大学生になっても、就職しても、ずーっと隣にいるのは純だ」
「来年は絶対大学に受かって、親を説得する」
「うん、この1年が大事だね」
「ああ」
そう言って、お互いに顔を見合わせ 「ウフフ」「ハハハ」同じことを考えている2人は
お互い、同じことを考えてるんだ。という事を認識し、それがうれしく思わず笑ってしまった。
そしていつものように、ながーいキス、2人純の家に戻り、バイバイの軽いキスをして、バイクで帰った。
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