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高校2年生ー修学旅行Ⅰ
【修学旅行 ―班決めと純の暴走と爆弾発言】
うちの学校は、就学旅行が3月にある。
試験が終わって就学旅行が終わり、春休みとなる。
行き先は、公立高校らしく、地味に奈良京都。
私立なら海外だったり、国内でも長崎とか沖縄とか……
修学旅行で盛り上がる1つに班決めがあって、ここで一大事件があった。
基本は男3-4人女2-3人の5-7人グループで行動する。
特に自由行動の日はこの班で予定を決めて一緒に行動し、何故かレポートを提出するので、班を決めるのは結構重要な事。
いつものように予備校の帰り、純は一緒のグループになるって言って、でも、純の取り巻き連中は黙っていないからむずかしいんじゃない?
それに、あいつがあれから何も言ってこないのが怖い、卒業までに何かしてくるんじゃないか心配だから、もう少しおとなしくしておいた方がよいかも。
このまま様子を見て、ダメなら、大学生になったら2人だけで京都奈良に旅行に行こうと言って、なんとか収まったけど、最後まで不満な顔をしていた。
純はおそらくあのトップカーストグループ、次期野球部主将がいる、文化祭の時、あいつの言いなりだった。
だからちょうど良い、5人で即決。
俺は適当に集まった5-6人と思っていた。
今日、アニメおたく=俺は「プロ」と呼んで尊敬しているんだけど、2人に聞いてみると 自由行動の日は2人で 今日兄に行く、絶対行くという事。
きっと他の連中には、理解できないだろうけど、俺は彼らの考え100%ではないが理解できる。
それに彼らは普段は、普通に接すればかえって気を使わず一緒にいても楽なので、彼らと一緒になった。
クラスの女子、田代さんと中野さんが、「高谷君ってグループ決まった?」
「いや、男子は、あの2人と一緒だけど、女子は決まってない」
「じゃあ、私たち2人と一緒のグループにならない?」
「あいつらがいいって言うならいいよ、でもあの2人、『今日兄』に1日中いるから、別行動になると思うよ。内緒だけど」
「いいよ、じゃあ高谷君と3人でお寺めぐりでもしようよ」
「ああいいね」
「じゃあ、あの2人がOKなら決まりね」
「うん」 しまった純が・・・義理チョコの2人だ。
まずい、純を見ると時々こっちを見て俺をにらんでくる。
トップカーストの連中がにぎやかにしているのが聞こえる、連中は気づいていないけど純がムッスリしてるよ、あれ、
「いいね~、じゃあ、純、一緒に○〇行こうよ」
「何、抜け駆けしようとしてんだよ、皆で行くんだよ」
「純、俺と2人がいいよな」
純の周りで盛り上がってるけど、純がだんだん怒ってきている。
突然、純が、椅子を勢いよく後ろに引いて、急に立ち上げり、俺の方に向ってどしどし歩いてきて、俺の机を前にずらして、俺の膝の上に座ってしまった。
ああ、そうなるか~。
トップカースト軍団は一瞬驚いたかと思うとすっごい怒った顔で俺をにらむ。
田代さんと中野さんがびっくりした顔で俺を見てる。
トップカースト軍団の2人があわててこっちに来て、
「村井さん、どうしたの、そいつに迷惑だろ、こっちにきなよ」俺をにらみながらも純の腕を掴もうとしたら、純がそれを振りほどいて 「いやっ、私、かっちゃんとおんなじグループが良いの、田代さんにも中野さんにもかっちゃんは渡さない。かっちゃんは私のもの」
クラスの皆が驚いてこっちを見ている。
トップカーストの1人=工藤が、俺をにらんで「高谷、ほら純をはなしてやれよ、困ってるだろ」 俺のひざに乗ってるのは純だろ、俺じゃないだろ。
そして、田代さんと中野さんが「村井さん、工藤君がああ言ってるんだから、あっちに戻った方が良いよ」
俺、バイクがなければただの人だから、勉強も3科目だけの人間、こういう状況は無理。
純がさらに暴走して左手を上げて「ほら、この指輪はかっちゃんがくれた指輪、かっちゃんもつけてるんだよ」そう言って、俺のシャツの第2ボタンを勝手にはずしネックレスをひっぱりあげ、そこにぶら下がっているリングと純の左手の指輪を並べて奴らに見せた。
遠巻きに見ている男子から「ウォー」と声があがり、同じく女子から悲鳴とは違った「キャー」、
五条達トップカーストの連中と田代さん中野さんが真っ赤になっていた。
それでも工藤は未練がましく「高谷、お前、純に何したんだ?」と見当はずれな事を言ってくると、純は「工藤君、何言ってるの?今の話聞いてたでしょ、そういう事だから、私はかっちゃんのグループに入るから」そう言って、俺の方に顔を向けた。
工藤はブツブツ言いながら、カーストグループの方に戻って行き、田代さんと中野さんは俺に向って「高谷君って村井さんと付き合ってるの?」、
俺が答えようとしたら純が「そう、かっちゃんは私の彼氏」
「そっか・・・・村井さんが相手なら難しいわね」そう言うと、純に向って、
「村井さん、高谷君と同じグループに入りたいんだったら、私たちの承諾と菅井君と土屋君の承諾が必要よ」
「えっ?」
「だって、もう私たち、高谷君のグループだから」
「そっか、田代さん中野さんお願い、私をグループに入れて」
「しょうがないわね、じゃあ自由行動の時はそうやって2人イチャイチャしないこと、皆と一緒に行動する事、いい?守れる?」
「うん、ちゃんと守るからお願い」
「・・・わかったわ、じゃあ菅井君と土屋君に話してこよっか」
「うん」
3人で菅井と土屋の所に言って、承諾を得る。
2人は何があったのかまだピンときていないようで、3人の女子がドーとやってきて一方的に話だしたので、速攻でOKだった。
修学旅行のグループを決めるのに、こんなに盛り上がるとは思ってもみなかった。
純は1人、勝ち誇ったような顔で自分の席に戻って行った。
それから、純は廻りから質問攻めにあっていた、まずいと思い
「純」と呼ぶと純がこっちを見たので両手を合わせると、あっ、という顔をして頷いて
皆の質問に対応していたが、「かっちゃんとは付き合ってるけど詳しい事は内緒」と答えていた。
しばらく落ち着いてから、隣の田代さんが「高谷君、本当に村井さんとつきあってるの?」
「うん」
「そうなんだ、いつから?」
「それは、ちょっと、でも本当に付き合ってるよ」
「そっか・・・でも彼女が村井さんって大変だよ」
「そうだよね、だから秘密にしてたんだけどね、しょうがないよ」
「ふ~ん、ねえ、高谷君って村井さんにかっちゃんって呼ばれてるの?」
「うん」
「そっか、村井さんかー……」
「うん」
純が暴走したのは、俺が隠していたのが原因だから、俺の責任でもある。
申し訳ないと思っている、あとでちゃんとあやまろう。
なんとか就学旅行の班決めが終わり、試験が終わると本格的に準備が始まるけど、きっとそれまでに色々あるだろう。なにせ「「あの村井さん」」の彼氏が俺だから・・・
【期末試験】
あの村井さんの彼氏が同じクラスの目立たない……
騒動から、純だけでなく、俺にも色々聞いてくる連中が増えた。
俺は期末試験の勉強があるからと言って無視して教科書を見るけど俺の成績を知っている奴らは「高谷の成績じゃあ、勉強しても変わらないだろう」と言ってくる。
そして回りにいる他の連中に俺の成績をばらして、俺を見下し始める。
あの村井さんの彼氏が自分より成績が悪い・・・その気持ち、少しはわかるけど、
「いや~赤点取りたくないからさ~」と言ってごまかすけど、まあそういう奴ら・・・、
一番しつこかったのは、トップカーストの連中。
純に何度も修学旅行のグループを一緒に って言っているみたいだけど、頑として純は俺のグループを主張するものだから、俺の方に入れ替わり立ち代わりやってきては、俺を説得しようとする。
「なあ 高谷、村井さんに何したかわからないけど、村井さんがかわいそうだと思わないか?」
思い込みの激しい工藤なんか「お前はひどい奴だ、純を解放しろ」とか。
そういうのはうざいから「お前、誰の許可もらって純って名前で呼んでるんだ?それ禁止!
なあ、そんなに心配なら村井さんの幼馴染で仲の良い、武村に相談すればいいだろ?」
学校では、そういう面倒な事が多いけど、純と付き合うならいつかはこういう事があるからと、周りの騒ぐ連中なんかより大事なのは純は俺の彼女であること、そして試験が近く、その後に修学旅行があるという事。
試験期間は予備校は休みなので、学校が終わると純の家に行って、純の部屋で勉強をして、やっぱりそういう気分になって×××しちゃって・・・家に帰る毎日が続き、いつものように試験が終わり、回答結果。
俺は相変わらず、国語は96点、英語が93点、トップの奴に聞いて、いともどおりおそらく国語はトップ、英語は2位か3位・・・大学入試の点数配分を考えると、本当は英語のトップを取りたいが、いつも凡ミスで2問落としてしまう。
それと、いつの間にか純も武村同様に俺と同じ方式をとっていた。
純は国立志望だから関係ない科目は2科目しかないけど、でもその2科目は26点、28点。
武村は国語と英語以外全部30点代前半だった。
一番驚いたのは、2人とも英語と国語が90点、91点・・・英語は俺と3点、つまり1問しか違っていなかった。
お互いに点数を言い合う、武村が相変わらずなかなか言わなかったけど、純が半分脅し気味に言ってやっと教えてくれた。
「2人ともいつのまに、そんな点数に?」
「だって、去年の期末にかっちゃんが教えてくれたでしょ」
「まあ、そうだけど、総合順位落ちたんじゃない?」
「そんなの受験に関係ないでしょ」「ないだろ」
って、俺のせりふがそのまま、返ってきた。
まあ、ある意味3人の大学受験にむけての勉強は順調という事のようだ。
【3人の恋バナ ー純の告白】
期末試験も終わり修学旅行の準備のための作業をしようと、男子と女子に別れてそれぞれ作業をしている。今まではほとんど話したことがない純と田代さんと中野さんの3人が俺の事を話している。
田代さんが純に質問し始める。
「村井さんっていつから高谷君の事が気になったの?」
「結構前からよ、前期の中間試験の頃か少し前のころ」
「じゃあ 席が隣になった頃?」
「そう、その頃、って、そんな事、なんで知ってるの?」
「・・・うん・・・でも、やっぱりね、高谷君の隣の席になる子は要注意なのよ」
「やっぱりそうなんだ」と純も納得して、
「彼って、なんかいいよね、外見もよく見るとちょっとかわいいし」
「やっぱり、田代さんも中野さんも彼の事、狙ってたでしょ」
「へへへ わかる?」
「やっぱり、・・・すっごくわかる、ずーっとかっちゃんに言ってたの、あの2人に誘われても一緒に行っちゃダメって」
「ハハハ、そうなんだ」
「だから、修学旅行の班決めの時、2人がかっちゃんに声かけていたのを見て、かっちゃんが取られちゃうって思って、もう頭が真っ白になって、それからは自分でもよくわからないんだけど、皆にかっちゃんの事言っちゃって・・・」
「なるほどねー、あのね、高谷君が1年の時のクラスの子も何人かいると思う」
「やっぱり・・・」
「時々、高谷君、廊下や学食で違うクラスの女子と話してるの見たことある?」
「うん、やっぱり、そうだと思った」
「気づいてたんだ」
「うん、ねえ田代さんどうすればいいかな~」
「まあ大丈夫じゃない、皆おとなしい子だから・・・でも村井さんがそんな話し方するなんて知らなかった。いつもはもっと、こう大人っぽいっていうか・・・キリとしてるって言うか、すっごい落ち着いて見えるし・・・」
「うん、かっちゃんにも妹にも言われる、かっちゃんの事になるとこうなっちゃうの」
「村井さんって本当に高谷君の事好きなんだね」
「大好きよ、かっちゃん以外誰も目にはいらないくらい好き」
「びっくりよ、「「あの村井さん」」が って思うと、ね~」
「あのね、秘密だから言えないんだけど、かっちゃんってかっこいいんだよ、言えないんだけど」
「何?」
「ごめん、言えないの、言ったらかっちゃん学校に居られなくなるかもしれないから、でもかっこいいんだよ」
「えー、そんな事あるんだ、彼女しか知らない事?」
「うん、そんな感じ」
「いいな~」
「いいでしょー、それとまだあるの、かっちゃんってすごくしっかりした考えがあって行動してるの、私もいっちゃんも彼の考えを聞いてから、そうしてるの」
「いっちゃんって武村君のことだよね、知らなかった、なんか高谷君って、すごいんだー、そっかーだから武村君がよく高谷君のところにくるんだ」
「そう、知れば知るほど好きになっちゃうよ」
「あ~あ、私が席が隣になった時、すぐに告白すればよかったんだーあ~あ」
「私は無理だったんだね~」(と中野さん)
「中野さんは、わたしより後?」
「そう、村井さんの次、田代さん残念だったわね」
「じゃあ、田代さんに、告白しなかったお礼言わなくちゃ」
「ははは、お礼って言われても、なんか悲しいわ」
「ごめんね」
「いえいえ」
「あのね、実はね、最初の頃、村井さんってあんまり好きじゃなかったの、っていうかあのグループがねー」
「私も」 中野さんも田代さんに同意し、田代さんに変わって中野さんが話す。
「なんか、言ってることとかやってることとかが、自分たちが中心で、自分たちが全部決めてる、自分達が正しいって感じで、なんか人を見下してるっていうか、外見とか肩書で人を見てるっていうか、なんかイヤだったのよねー」
田代さんが、
「あの人達に、高谷君の良さは絶対わからないだろうって思ってたの、だから村井さんが高谷君の隣の席になっても、あれだけの美人だけど、彼氏もいるし、だからあんまり心配してなかったんだよね、でも村井さんは気づいちゃったんだ・・・あ~あ」
「そう、あの時はまだ彼氏がいたんだけど、かっちゃんを知ってから、なんか今の私は違うなーって思ってね、やっぱり違ってた。実はね、かっちゃんと知り合って私は助けられたの、本当に人を好きになったの」
「もう、そんな話ばっかり、村井さん1人が幸せって感じ、ちょっとくやしい」
「ごめんなさい」
「ねえ、いつから、かっちゃん、って呼んでるの」
「夏休み明け?くらい」
「そんなに早くから?」
「うん、」
「びっくり」
「ねえねえ、どこまで進んでるの?」 中野さんが、すごい興味深々な顔をして覗き込む。
「えっ?」
「だから。ねえ、キスはもう済んでるでしょ?でどこまで行ってるの?」
「・・・・えっと~・・・」純がモジモジ。
その様子を見て、
「えーっひょっとして・・・最後までーーー?!」
「‥‥‥」モジモジしかしない純。
「すごーい、2人とも、もう大人なんだー」
「・・・・・どうしよう、っちゃんに怒られる・・・」
「はいはい、もう、ういうの2人でやっててよ」 それを見て、ちょっとあきれる風に田代さん。
「そうね」と中野さんが同意
「へへへ」
「フフフ」
「でも村井さんが思ったより話しやすい人で良かった」
「ありがとう」
「うん、これからもよろしくね」
「こちらこそよろしく」
「ところで、五条君たちのグループはどうするの?」
「えっ?」
「修学旅行がこっちのグループになったじゃない、修学旅行が終わってからは?」
「うん、今まではかっちゃんのこと秘密にしてたから、最初の頃のグループにいたけど、もうOPENになったから、これからはかっちゃんと一緒にいようと思うの」
「そっか」
「うん」
「これから色々あると思うけど、頑張ってね」
「うん、ありがと」
恋バナをしながらも、班の自由行動の予定などしおりは着々と完成し、菅井達はこっそり自由時間は別行動、最初、田代さんや中野さんは難色を示したが、彼らは頑なに主張し、皆それぞれ良い思い出を作りたいからと俺が彼らの行動を認めると、純も俺に同意し、結局自由行動は2人と4人に別れて、集合時間の1時間前にスマホで調べたバクドに集合し、話をすり合わせる、という事で話がついた。
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