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中学編
『中学編』
【プロローグ】
俺、高谷克己は、ごく普通の高校生、陽キャではないし、当然トップカーストグループには入っていない、陰キャでもないけど、親しい友達は少ない。
それでも結構な有名人になった。
それは、一番仲の良い友達のせいで、さらにもっと有名に、だって俺の彼女は……。
何度も言うけど、陰キャでもボッチでもない、だって、体育の時にペア―を組む際も同じクラスでよく話をする友達以外でも、普通に組む時もあるし、校外学習の際の移動バスの隣の席も普通に決まるし、中途半端といえばそれまでだけど、それに、結構仲がよくなった女子は少しだけどいる。
少なくとも席が隣になったり、委員会や当番で一緒になって話をするようになった女子は、それ以降も仲良くなっている。
だから、俺は陰キャでもボッチでもない・・・・・・と思ってるけど・・・・・・。
なぜ友達がいないか、その原因は、俺のメインの趣味がバイク。
学校では免許の取得禁止なので、マル秘だから誰にも言えない。
バイクに乗っている時は1人ボッチ。
アニメも好きだけど、毎シーズン何本か見て、面白かったらラノベも読む、だからアニオタとの会話にもビギナーとしてだけど、一緒に混ざる事もある、例えば、『リゼな高本さん』、とか『転すろはありふれたら無職でも盾は強い』などは一緒に話し、二次元女子の話だと『がいるのすず先生』にあこがれる、とか『ハリミヤ』がいい、『4Dガール』の方が良いっとかそんな話もする。
アニオタの彼らに言わせると俺は“ビギナー”だけど「SOA」や「ファイト」などは一緒に会話してくれるけど、彼らはゲームも制覇しているようなのでその話にはついていけなくて・・・でも他の連中から見ると・・・俺もオタク・・・。
音楽に関しては、普通のメジャーどころだけど色々聞いている。
ここ数年だと、“髭男爵”や “やんやん”とかそれなりに無難なところを。
基本的に配信しているものを聞き流しているので、たまたま聞いた昔のアニソン主題歌でスーパーセールにはまって、それからボカロとかも聞いたりしている。
以前“コロ”を知って面白半分に聞いてたら、中学の時に“麦酢健司”という名前で出したドラマの主題歌で「メロン」が出て、爆発的にヒットしてから有名になった時思わず隣の席の女子とその話で盛り上がり、そっちに強い女子には「高谷君も同じ匂いがする。『コロ』知ってたんだ、へ~」 と感心されたり。
でもそのくらい程度で マニアックでなく普通にヒットしている音楽好き、だから隣に座った女子とも普通の音楽のそういう会話が成り立つ。
たまたまネットでみつけて面白そうな動画を、隣の女の子に教えたら、その子もはまって、一気にクラス全員の女子に広まり、それから、俺の立ち位置が若干変わったという事も。
普段はなかなか積極的に女子とは話をしないのでボッチではないがあまり目立たない方だから、席が隣になると教科書を一緒に見たり、先生からあてられた時に困っていると答えを教えてあげたりして、少し話をするようになってから徐々に会話をするようになる。
ただ、そうなると女子からの印象も変わり、気軽に、お互いに音楽の話をしたり、休みは何をしているか、とか、どんな趣味があるかとか、他の友達の噂話とかするようになると、第一印象と違うと驚かれ、それからは結構親しくなり、席替えで離れても昼休みとか何かの行事の時に気軽に話しかけてくれるようになる。
こうやって仲良くなった女子の何人かは・・・俺を好きになってくれる・・・事が後になってわかった。
【中学時代】
中学時代、一応頭はそこそこ良い方で、学年でもトップ20前後をキープしているので、目立たなくておとなしいけどそこそこ頭が良いから真面目なんだろう、というのが女子の共通認識だった。
それが隣の席になって こうやって話をして親しくなると、第一印象と違う、と必ず言われる、最初はそれがどういう意味か分からなかった。
クリスマスに、1度、席が隣になって親しくなった女子から、「これ、この前の日曜に家族で遊びに行ったときのおみやげ」と言ってキーホルダーやお守りをもらったり、バレンタインデーに呼び出されて「今日はバレンタインデーだから彼女のいない高谷君に義理チョコ」と言って、普通の市販のチョコだけど、一応バレンタインチョコをもらったことがある。
そのころは、クリスマスには好きな男子にプレゼントをあげて告白するとか、バレンタインデーに手作りチョコとか本命チョコとかをあげる……色々な情報が耳に入っていたし、すでにクラス内で誰が好きとか告白したとか恋バナする女子が結構いて、どういうプレゼントをもらったとか、手作りチョコとか実際に聞いたり目にしていたから、クリスマスにもらう単なるおみやげ、とか、バレンタインデーにもらう義理=市販のチョコは、単に親しくなったからくれたんだ、と思っていたし、お子様だった俺はその言葉を素直に受け止め、家に帰って母さんにおみやげもらったとか、チョコもらったと見せながら報告して、母さんも普通に「あら よかったわね~」
「うん」という会話をしていた。
最初は自分のそういう事に気が付かなかった、だけど、中学2年のバレンタインデーの時に、同じように席が隣になった事がきっかけで親しくなった山田郁。
ちょっとギャルのちょっと派手な積極的な女子から「これ本命チョコだよ、私の事考えて?」と言われ、驚いた。
山田郁と親しくなって、中身はとっても良い子だとわかったし、見た目はちょっと派手だけどかわいくて結構人気者。
中学生の俺にはちょっとエロっぽくて……いいな~とおもっていたから、ホワイトデーにクッキーをお返しにあげて、「付き合わない?」って聞いたら「ありがとう」と言われ、付き合い始めた。
朝は家の距離とか起きる時間も大変だし、遅刻したくないから、一緒に行くのは難しいけど、帰りは都合がつくと一緒に帰ったり、駅前のバクドに行ってコーラとイモ食べながら話したり、休みの日にショッピングモールに行ったりして遊んだ。
【中学時代—彼女ができた】
春休みに入ってもRINEで連絡しあって、デートしたり、お互いの家に遊びに行ったりして恋人として付き合っていた。
ある時、彼女の家に遊びに行くと、いつもはおばさんか弟が家にいて、挨拶するけど、その時は、おばさんが弟のサッカーの練習試合に付き添うという事で、家には彼女しかいなく、それに彼女がいつもと違って妙におとなしかった。
「こんにちは」
「いらっしゃーい」
「あれ?どうしたの?」
「何が?」
「なんか、いつもと違う感じ」
「そう?」
「うん」
「別に、いつもとおんなじだよ」
「そっか」
「とりあえず、あがって」
「うん、おじゃましまーす」そう言って靴をぬぐ、いつもならおばさんがリビングから「はーい」と言ってくるけど、今日はその声がしない。
「あれ?おばさんは?」
「うん、弟がサッカーの試合で、それに行ったの」
「ふ~ん」
「どうぞ」そう言ってスリッパを出してくれ、2人で彼女の部屋に。
「何か飲み物持ってくるから」と言っていつものように、一度部屋を出て、飲み物を持ってきて、ベッドの前のテーブルに置く。
今日は何故か、彼女がいつもよりおとなしくって、なんか違うな、と思っていたら、
急に「あのね、高谷君がホワイトデーの時にクッキーくれて 付き合う?って言ってくれた時、私 すっごくうれしかった、ほんとは泣きそうだったの、高谷君が私を選んでくれたって」
「そうなの?」
「うん、あのね、あの時、高谷君の事、いいな、って言ってた子が他にもいたの、その子がバレンタインデーにチョコをあげようか悩んでいたから、私あわてて、チョコ買ってデコして、勇気を出して、高谷君にあげたの」
「そうなんだ」
「うん、去年の夏休み明けに席が隣になったでしょ、最初は真面目なおとなしい人と思ってたんだけど、色々話している内に、音楽とか趣味とか」
「うん」
「オートバイの話なんかちょっと意外と思ったし、最初の印象と全然違って、同じような音楽聞くんだーって、洋服も自分で買う事あるんだって、弟なんかお母さんが買ってる服を着てるよ、だから、うん それにとっても話しやすくって」
「俺って、そんなに第一印象悪いの?」
「そうじゃなくて、すごい真面目で男の子としか話さないのかなって思ってた」
「そっか」
「うん、それから席が離れたけど、高谷君、隣の席の子と楽しそうに話てるの見て、寂しくなって、でも私が話しかけると、席が隣だったと時と同じ風に接してくれるし、にっこり笑ってくれて、そうやって普通に話しかけてくれるし、それがうれしくて、それからは隣の子と楽しそうに話しているのが気になって、ちょっと胸が苦しくって……好きになったの」
「そっか」
「だから、付き合う? って言ってくれた時、本当にうれしかったんだよ」
「俺もね、郁と初めて話して、最初の印象と全然違って、とっても素直な良い子、って思った」
「うん」
「郁って見た目がちょっと派手で明るいから、俺みたいなのとは話が合わないんじゃないかって、それにたくさん男友達もいたでしょ、でも話してみると普通に素直で、話しやすくて、俺の話もちゃんと聞いてくれるし、ちゃんと答えてくれて、良い子だな、って思ってたんだ。バレンタインデーの時、本命チョコって言って、『考えて?!』って言われてから、本当なんだろうか、皆に言ってるのかな? とか、こんなにかわいくて、ちょっとエロい子が本当に俺?って」
「あっ、ごめん、エロって、違うよ、そんなんじゃなくて」
「うん、いいよ、ちょっとうれしいし」
「でも、話してて良い子だと思ったから、本当にそう思ってくれたんだろうって思って、ちゃんと考えて、でもなかなか決心がつかなくって、だからホワイトデーに、でも1ヶ月もたっちゃったから気持ちが変わってるかもしれないし、他につきあったりしてるかもしれないけど、ちゃんと聞いてみようと思って、ああいう言い方になっちゃった」
「うん、ほんとうれしかった。それから2人でデートしたり、一緒に帰ったりして、やっぱり高谷君って思ったとおりの良い人、一緒にいるとすっごく楽しいの、だんだん好きが強くなって・・・」
そう言ってかなり近くに顔をきて、涙目でじーっと俺を見ているので、思わずキスをしてしまった、俺のファーストキス。
彼女もファーストキスだったらしく、離れた後、顔を俺の胸にうずめて
「びっくりしちゃった、はずかしい」
「ごめん、俺・・・・・・初めてだったから」
「・・・・・・私も・・・・・・」
そう言って、俺の顔を見上げるようにして見たので、またキスをしたら、今度は彼女も俺の首に手をまわしてきたので、ずーっとキスをした。
それからは何度も何度もキスをして、最後の方は本当の恋人キスをした。
お互い初めてだったので、結構歯がガチガチぶつかったりしたけど、2人ともそれには触れず、ずーっとキス。
いつのまにか夕方の5時になって、そろそろお母さんと弟が帰ってくると言ったので、その日は、このまま会って挨拶すると、なんか今までキスしていたのがばれそうな気がしたので、彼女もうんうん頷いて同意したので、そのまま帰ることにした。
それからは、春休みは結構頻繁にデートしたり、彼女家に遊びに行ったり、・・・・その時は必ずキスしていた。
俺の家はというと、いつも母さんが家にいて、飲み物やお菓子を母さんが俺の部屋に持ってくるし、ちょっと時間がたつと追加のお菓子を持ってくるから、落ち着いてキスができない。
彼女の家では飲み物やお菓子は彼女が持ってきてくれ、部屋に彼女の母親が来ることはないので、彼女の家によく行って・・・・・・。
【中学時代—はじめて】
彼女とキスをするようになって、それからは彼女と2人きりになると……
春休みがあけてすぐのころ、彼女の家に行くと、その日もおばさんと弟が2人ででかけていないと言われて。いつものようにキスをして……そんな日常。
中学3年、地元の学区内の公立の中学に普通に進学した俺達は、高校受験がある。
2年から塾には通っているが、本格的に勉強し始めるのは、この春休みから、公立高校は何故か中学の成績を見て、先生と親が志望校を決める。
行きたい所があっても成績が・・・って言われる。
だから、自由に受験できる、行きたいと思う高校=私立のため受験勉強をしている。
彼女と2人、同じ塾に通って、帰りが夜の時は彼女の家まで彼女を送り、キスしてバイバイ。
4月、3年生になって、学校も本格的に受験体制にはいる。
相変わらず、俺と彼女は学校で誰もいなところを探しては……。
同じ塾なので、夜の帰りに、休みの日は彼女の部屋だったり、図書館デート、ほぼ受験勉強中心のデートだった。
彼女の部屋デートの時はいつも・・・彼女がすごく色っぽくて、その時の顔も体も年上の大人って感じが……どんどんハマって行った。
どこの高校を受けるか2人で話した時、彼女は将来の事を考えて、大学の付属高校に行って、そのままその大学に進む、と言った。
最初、彼女も俺と同じ高校を受験するかなって思ってたから、ちょっとショックだったけど、違う高校に行っても、ずーっと一緒、と言われ、まあ彼女も自分の将来を考えての事だろうから、それもいいかなと思い
「高校に行ったら受験勉強がなくなるからいっぱいいろんな所に行こうね」と楽しそうに話しているのを聞いて、うれしくて思いっきり彼女を抱きしめ、とても幸せな気分だった。
そういう事もあり、俺も自分の進む道を目指そうと思い、私立の男子校を第1、第2志望にして、公立高校は、まあ大丈夫だろうと思われるところにした。
高校受験で、彼女は志望通りの大学付属の高校に受かった。
俺は第1、第2志望の私立高校に…落ち、結局、一応進学校、と言われる公立の高校に行くことになった。
【卒業】
中学の卒業式、いわゆるイケメンと呼ばれる連中は同級生だけでなく、2年生からも声をかけられ、帰る頃には制服のボタンが全部なくなっている。
それに比べ俺は……まあこんなもんだ、でも俺には彼女がいるからいいっか。
中学を卒業した春休みに、以前同じクラスで仲良くなった女子で、クリスマスにお土産と言ってキーホルダーやお守りをくれたり、バレンタインデーに義理チョコと言って市販チョコをくれた女子で違う高校に行くことが決まった事がわかったらしく、電話がかかってきて、「会えない?」 と言われ、でも「彼女に悪からと」言って断ると、
「でも高谷君の彼女、この前他の男子生徒とバクドにいたよ」と言われ、モヤモヤした気分で近所のバクドナルドで詳しく話を聞くことになって、その話の後、その女子が電話してきたのが俺への好意だったという事がわかり、ちょっと嬉しかった。
その後も別の女子から同じような電話があったけど、それは彼女がいるからと言って丁寧にお断りした。
そういう事もあって、俺はバリバリのモテ男じゃないけれど、ちょっとはモテるんじゃなかなって少しだけど自信がついた。そうか、あんな感じで接してくる女子が俺に好感を持ってくれているんだ、今までそういうのがわからなかったけれど。
そうか、俺、今まで鈍感野郎だったんだ……ラブコメを読んで、なんだこいつ、こんなに鈍感ってうそだろ、って思ってたのに、俺もそうだったんだ・・・・・・。
それからも誘われたけど、俺には既に郁という彼女がいるし、彼女たちもその事を知っているけど、友達として良いから、高校に行ってからも時々会って遊ぼうと言われ、男女一緒で大勢ならという事で、じゃあまたと言って電話を切った。
春休み、その話を聞いて彼女に会った時に、他の男とバクドにいたのか、それとなく聞いてみようと思い。
「春休みに友達とどこか遊びに行った?」
「ううん別に」
「俺の友達が、お前彼女と別れたのか、って聞いてきて……」
しばらく沈黙が続いて、彼女が話始めた。
「・・・あのね、隣のクラスの男子が、急に会ってくれって言ってきて、彼氏がいるからイヤって言ったんだけどしつこくて、バクドだけならって言って会ったの、それを見たんだと思う」
「……」
「でも、ちゃんと断ったよ、彼氏以外とこういうのはイヤだからこれっきりって言って、納得してもらったから、もうそんなことないよ」
「うん」
「やきもちやいた?」
「うん」
「うれしい、私、克己君だけだよ」
「うん」
そう言って、彼女の顔が俺の前に、そのままキスをして……。
高校生活はもう彼女がいるし、女友達もいるから、楽しい高校生活が始まるとその時は思っていた。
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