深緑の眼は惹かれる②

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「おーい、あんたさっきの授業のことだけどさ」  そう話しかけると、西野くんはびくっと肩をはね上げて和也くんの方を見た。なんだか…おびえている?和也くんもその様子に気が付いたのかこれ以上話そうか悩んでいるようだ。それなら私のほうから話そうといつもより少し優しい声で話しかける。 「ねえ、さっきの授業うまく加われていなかったみたいだけど」 「大丈夫だから!」  和也くんの言葉をいつもより大きめの声で遮った。西野くんの普段出さないような声量に周りは少し驚き、ちょっとだけシンとする。 「な、なんともないよ、大丈夫。ありがとう」  そういって彼は教科書をもって次の教室へそそくさと移動した。和也くんはそんな西野くんを追うように教科書をもっていく。少し後ろの方で心配そうに見ていたアサヒちゃんはちょっと驚いたような顔をしてこちらへきた。 「なんか…、西野ってあんな風に声出せるんだね。びっくりした」 「うん…」  二人でそう話した後、これ以上は同性の和也くんに任せておいた方がいいかもしれないとなり今回は様子を見ようということになった。  西野くん、もしかして人見知りなのかな?そんなことを考えながら私も次の授業の準備をして移動し始めた。
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