深緑の眼は惹かれる②

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 その日の昼休みに一つ上の周防伊織先輩に会った。伊織先輩は私が入学して間もないころ、先生に実験室までプリントを運ぶように言われたが、場所がわからず困っていたところを助けてくれた優しい先輩だ。それ以来何度かお世話になっている。可愛らしい容姿に優しい性格からどの年代からもモテるし頼りにされているみたい。 「こんにちは伊織先輩!今日は購買でお昼買うんですか?」 「こんにちは早川さん。そう、今日はお弁当じゃなくて購買なんだ」 「あの!もしよかったら一緒に食べませんか?ご相談したいことがあって」  そういうと伊織先輩はいいよといって購買でパンを買った後一緒に空き教室でご飯を食べることにした。相談事というのは今日の西野くんのことだ。やっぱりあの様子は気になる。伊織先輩ならいろんな人の相談にのっているみたいだし、もしかしたら何かいいアドバイスをくれるかもしれない。  そう思った私は今日グループワークであったことを話した。 「なるほど、グループワークに入れていない子がいて気になると」 「はい…」  お節介と言われるかもしれないけれどやっぱり気になる。せっかく同じクラスなのだから仲良くなりたいし、もしかしたら西野くんも眼の色のことを…。 「そうだね、人はそれぞれ仲良くなるペースも違うしあまり焦らない方がいいんじゃないかな」  伊織先輩の優しそうな声が聞こえてきたことでハッと思考が止まった。彼の方を見ると微笑みながらまたこう言った。 「その子はきっと人と仲良くなるのがゆっくりなタイプなんだよ。だから最初は毎日朝と下校時挨拶するところからはじめたらどうかな?」 「挨拶、そうですね。あまり無理やり話しかけるのも良くないですもんね」  そんな話をしているとそろそろいい時間になってきた。伊織先輩にお礼を言って教室を出る。とにかく今日の放課後は西野くんに挨拶しよう!
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