深緑の眼は惹かれる③

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深緑の眼は惹かれる③

 5月のある休日、奈緒は暇を持て余していた。誰かと会う約束があるわけでもなく、かといって何か用事があるわけではない。  勉強も昨日のうちに宿題や復習を終わらせたし、今日は何をしようかな?そう思いながらベッドの上でSNSに目を通していた。 「あ、これ面白そう」  SNSを見て回っていて目についたのは、最近話題のミュージカル映画だ。歌も演技もすごいって評判なんだよね、今日は予定もないし見に行ってみようかな。  そうと決まればベッドから起き上がって出かける準備をする。服を着替えて髪を整える。髪の毛はおろしていこうかな。そうして最後に姿見で自分の姿を確認する。  よし、変じゃないよね?リビングにいるお父さんとお母さんに出かけると声をかけて、靴を履き家を出る。 「行ってきまーす」  今日は晴れているため、日差しが強くちょっと汗ばむ。日傘持ってくればよかったな、なんて考えながら駅まで歩く。電車に乗り映画館の最寄り駅までスマホをいじって時間を潰す。  そういえば私のまわりには映画を良く見る人あんまりいないんだよね。見ていたとしても恋愛映画とかアニメ映画とかが多くて、ミュージカル映画を語れる人がいない。  もちろん見終わったらSNSにネタバレしない程度に感想を書いたりするけれど、どうせなら誰かと直接語り合いたい。そんなことを考えていたら最寄り駅についていた。 「外あっつい…」  電車から出た瞬間強い日差しがあたる。日差しを浴びながら映画館まで歩いていく。映画館につき館内に入ると冷風があたって気持ちいい。それじゃあチケットと飲み物を買って席に着こう。パンフレットとかは映画見終わった後に覗きに行こうかな?そんなことを考えながらチケットと飲み物を買っていると、知っている人を見かけた。 「あ、西野くん」
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