深緑の眼は惹かれる③

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 私のその声が聞こえたのか、ちらっとこっちを見た後軽く会釈をしてシアターがある方へ歩いて行った。西野くんも映画見に来てたんだ、何を見に来たのかな?  飲み物をもらってシアター内に入るともうCMがはじまっている。私は指定された席に座ってスマホの電源を切りCMを見始める。このCMを見るのも楽しいんだよね!次何を見にこようか考える材料になるし、今まで興味のなかったジャンルも見ようかなって思ったりするんだよね。そしてCMが終わり、ついに映画が始まった。  面白かった~!私は席から立ちあがりながら映画の余韻に浸っていた。これは話題になるのもわかる!!歌もダンスもシナリオも本当によかった、特に歌が素敵だった。  これは今すぐ誰かと語り合いたい、そう思いながらシアターを出ようとしていると、西野くんの姿が見えた。 「西野くん!!」  私は映画の興奮がやまず、思わずちょっと大きめの声で西野くんの名前を呼んでしまった。彼は驚いたような顔をした後、こちらに歩いてきた。 「西野くんもこの映画見に来てたんだ!すごい面白かったよね」 「う、うん。すごかった。特に歌が上手くて…、字幕で見てよかった」 「だよね、やっぱり歌素敵だったよね!」  そんなことをシアターから出ながら話す。西野くんも映画を見た後の興奮が冷めないのかいつもより饒舌だ。これはもしかして一緒に語れるのでは? 「ねえ、もしよかったらこれから喫茶店に入って今日の感想話さない?私ミュージカル映画話せる人がいなくて」  西野くんは少し顔をうつむかせて悩んだようなそぶりを見せた後、眼鏡越しに目を合わせてうなづいた。 「うん、早川さんさえよければ」 「やった!じゃああそこの喫茶店にはいろう」
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