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そうして人類は永遠の眠りについた。
はずだった。
目が覚めたときには、悪い冗談だと思った。
だが、冗談ではなかった。
今日も私は眠っていない誰かを探して、夢遊病者のように街を彷徨っている。
「そりゃ、いつも寝付きは悪い方だったけどね」
誰にも聞こえていないと思うと独り言も大きくなるというものだ。
そう、私は子どもの頃から寝付きが悪かった。
保育園のお昼寝の時間には一人だけ起きていて先生を困らせていたし、遠足の前の日には眠れなくなって当日寝不足で行くことになった。普段から寝付きが悪いが大切な日の前になると更にひどくなるタイプだ。
もちろん、初めてのデートの時なんかもそうだった。
それにしても、である。
地球上の人類全てが眠りについているというのに、私だけ取り残されている状況というのはさすがにどうかと思う。
遡ること一週間前、嘘みたいな話だが宇宙から異星人がやってきた。そして、人類を全て眠りにつかせることに決まったと言ったのだ。しかも、大げさな機械などを使うわけでもなく自分の家で普通に眠れるということらしい。宇宙人の謎技術だ。
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