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ネオンの灯りがそぼ降る雨とクロスして不思議な色彩を醸し出す。 そんなこの街の景色が好きだ。 目の前のエスカレーターを宇宙遊泳のように昇っていくと、ビル街の景色がまた一段とよく見えた。 少し歩くと、そこには不意に真っ白なコンクリートで囲まれた静かな公園があった。 フェンスで仕切られ、ナイターが煌々と照らされたプレイルームでは、真夜中にスケートボードを楽しんでいる男の子らが数名いた。 そこをそのまま素通りして歩いていく。 「この先に小さなバーがあるよ。結構夜景が綺麗に見える場所でね」 「そう、じゃあそこへ行きましょう」 光輝く、私には眩しいほどに美しい"彼"に導かれて、私はそのバーに入った。 中にお客さんはいなかった。 カウンターの向こうにバーデン姿の男性が1人だけ。 「マンハッタンを」 私がそう注文すると、バーデンは無言で頷き、すぐにカクテルを作り始めた。 「マンハッタンとは趣味が変わったね。この間まではマティーニばっかりだったのに」 「気分転換よ」 「そう。そういうのは大事だよ」 目の前には都会の夜景がひたすら拡がる。 点在するネオンの灯りが妙に心地良い。 もはや私の生きる場所なんか、何処にもないことを、静かに教えてくれている。 なんて優しい先生…。 私はその優しさに寄り添いながら、二杯目のマンハッタンを飲み干した。 「どうしたの?いつもよりペースが早いね」 「そう?でも今はそんな気分なのよ」 「それなら構わない。どうぞご自由に」 「どうぞご自由に、か。いつも優しいわね」 「そんな。普通だよ」 「そうね。あなたとしてはそうかもしれない。でも私には、"あなた"しかいないから」 「僕で良かったら、何でも話を聞くよ」 「ありがとう」 でも彼と会うのも、もう今日で最後だろう。
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