幸福搾取

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「ウジウジしがちだけど、吹っ切れたら行動が早い。女がこうなると手加減もお情けも期待できないからね」  弁護士さんが友樹にチラリと視線をやった後、「ですよね?」と『同じ女だから分かりますよね?』とばかりにお義母さんに同意を求めた。 「…………」  そうですね。などと明るく相槌を打てるはずもないお義母さんは、無視をしているわけではないのだろうが、無言だった。 「どうする? このまま二人で家に帰って判子押して、そのまま役所と役場に書類提出する? 友樹、土壇場で暴れて書類引きちぎりそうだから、私もついて行こうか?」  友樹のことを一切信用していないしていない奈子が、『お見通しなんだよ』とばかりに、先手をとるように友樹の取りそうな行動を口にしながら私を慮った。
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