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電話を切り、自宅へ戻る。
検診後にスーパーに寄って夕食の材料を買って帰るつもりでいたが、そんな気力はどこにもなく、私の方こそ一目散に帰宅した。
家に入るやいなや、リビングのソファに横になり、お腹を摩りながら「何で、何で」と落涙。
そうしている間に日が暮れ、
「……夕食作らなきゃ」
手の甲やら手のひらやらて涙を拭き取り、むくりと無理矢理身体を起こし、キッチンへ向かう。
冷蔵庫の扉を開き、大きなため息を吐く。
「……何を作ればいいのよ」
買い物をせずに帰ってきたのだから、冷蔵庫の中身が貧相なのは至極当然だ。しかし、仮に潤沢に食材が詰まっていたとしても、今の私にたいしたものは作れないだろう。「この材料で何を作ろうか?」なんて考えられるコンディションではない。
結局、冷蔵庫の中の食材を適当に放り込んだカレーと、野菜を適当に切っただけのサラダと、玉ねぎをコンソメで煮ただけのスープを、本当に何も考えずに作った。
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