過食の男

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「これくらいのこと、1回で終わらせろ。時間の無駄だ」  1つ年下の課長は報告書を受け取ると、自分のデスクの端へと置いた。俺は一礼して、また自分のデスクへと戻った。  課長の彼は昨年まで、俺と同じ係長だった。次期課長になるのは、俺か彼か、他の職員は密かに噂していた。そして彼が抜擢された。今までの成績を見ると、確かに彼の方が優秀だった。  それからだ。彼の当たりが強くなったのは。明らかに俺に対する態度が横柄になった。ちょっとしたことでも何かしらの因縁をつけてくるようになった。  初めはそういうものかと、自分を納得させていたが、1年もこういう状況が続くと、さすがに嫌になってくる。  俺は1つため息をついて、自分の仕事に取り掛かった。
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