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12:30pm
お昼休み
社内の休憩室で手作りのお弁当を広げ、結衣はスマホを手に取った。
同僚はみんな外食なので、最近はひとりの時間が多い。
「ゆいちゃん、今日何時ごろ来れる?」
翔からのライン
昨日、案内メール届いてるのに、今朝も送ってくれるなんて、翔らしくってうれしい
「5時すぎに仕事終わるから、お店に着くのは7時ぐらいだよ」
仕事で嫌なことがあったとき、気分転換になるよって友達に誘われて初めて行ったホストクラブ
初回は3000円で遊べるから、その一回限りで終わりにするはずだった。
いろんなホストがやってきて、指名をもらおうと、歯に浮くような言葉を浴びせられたけど、心に響かなかった。
適当に飲んで、適当に騒いで、ストレス発散させて、明日からまた頑張ればいっか。
なんて思っているときに、翔がやってきた。
「大丈夫?疲れてない?」
第一声がそれだった。
え?明るくふるまっているのになんでわかるの?
黙っていると、
「嫌なことがあったなら話聞くよ」
その言葉で、ためていた思いがいっきに吹き出した
「今日はきれいだね、なんかあった? あ、今はこれもセクハラになるんだっけ、
って、わかってるんなら言うなっつうの
残業つけられないのわかってるくせに、終業間際に大量の書類もってきて、コピー、明日の朝まででいいからって、何それ!
夜中にやれっていうの?」
上司のセクハラ、パワハラ発言の愚痴をおもいっきり言うと、スッキリした
そんな結衣を翔はそっと抱き寄せ、、
「ゆいちゃん、頑張ってるんだね、えらいよ」
そういった。
なぜか、涙がツゥーとこぼれおちた
翔は、頭をぽんぽんしながら、
「毎日がんばっててえらいっ」
結衣の瞳から、ボロボロ涙がこぼれ落ちた。
そう、わたしはこの言葉を待ってたんだ、
女だっていうだけで、後輩の男子社員のサポートに回されて、いつまでたっても雑用係。
誰も認めてくれない、誰も褒めてくれない。
わたしだって、頑張ってるんだから、
そういいたい思いを押し殺して毎日生きてきたけど、翔のひとことで救われた気がした。
涙が止まらないわたしを、翔は黙って抱きしめていてくれた。
最後に指名を聞かれ、結衣は思わず、翔とこたえていた
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