鬼の目にも涙

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鬼の目にも涙

ボタボタボタボタ。変な音の雨の夜。おじいちゃんは、眠くてウトウトする僕に言い含める。 「いいかい。今夜は外に出ちゃいけないよ」  ボタボタの雨音の夜、おじいちゃんはいつもそう言う。気にはなるけど、そういうときは眠たすぎて外にでる気にはならない。おじいちゃんは何かを隠している。いつか確かめなくちゃ。もし、おじいちゃんが悪いことしてるなら注意しなくちゃならない。隠し事するくらいだもの。きっと悪いことだ。  その日は寝てしまったけど、次のボタボタの雨の日にはおじいちゃんを尾行するため、僕はお昼寝をするようになった。その代わり、少しだけ夜更しするようになって、まだ寝ないの? なんて言われるときもある。夜更しのお供はゲームか漫画。ついついやりすぎちゃう。お父さんやお母さんやおばあちゃんは、朝大丈夫? って心配するけど、おじいちゃんだけは何も言わない。 「好きなことをできるのは、いい時代だからな」なんて笑う。そんな優しい顔しても駄目だ。僕は分かっているんだ。おじいちゃんは本当は悪い人なのを。正体を暴いて悪事の罪を償わせるからね。
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