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ホテルに入ったあと、お互い忍耐力を総動員して、一緒にシャワーを浴びた。雨に濡れて冷えた体が、すぐに温まる。
二人は話す余裕もないまま、ベッドにもつれるようにして倒れ込んだ。
拓也が、仰向けに寝ている裕斗の両脚をぐっと左右に広げた。露わになったそこは、まだ何もされていないのに完全に勃起し、先端からは先走りが溢れ出ていた。
「――堪らないな」
拓也が呟きながら、ローションの蓋を片手で開けた。果物のような甘く爽やかな匂いが漂ってくる。これはさっき、室内の自販機でゴムと一緒に買ったものだ。
「ごめん、余裕ない。二回目以降ちゃんとするから」
急くように拓也の指が、裕斗の内部をこじ開けていく。
裕斗は全身から力を抜いた。が、いつもより異物感が強い。
「狭くなってる」
拓也が独り言のようにいった。すぐにローションを追加して、束ねた二本の指を内部で広げ、空洞を増やしていく。良い場所をピンポイントで刺激してくるので、裕斗はすぐ達しそうになった、のに、指が引き抜かれてしまう。
「ダメ。一緒にイきたい」
劣情が浮かぶ目で裕斗を見下ろしながら、拓也がコンドームを自身に装着する。それは痛そうなほど張り詰めていた。
裕斗は己の膝に手を置いて、できる限り開脚した。欲しくて堪らない。期待で胸がバクバクいう。蕾が脈拍に合わせて痙攣する。唾をごくんと飲んだ。
膨れた突端が、とうとう裕斗の蕾に触れてくる。慣らすように入り口で何度か擦るように動いたあと、ゆっくり中に入ってくる。めりめりと太い尤物(ゆうぶつ)で、狭かった器官が拡げられ、第一の性感帯に変えられる瞬間だ。
「あ……はっ……あ、あ」
圧迫感の後に、すぐに灼熱の快感が裕斗を襲う。
先端が入ったと安心したところで、一気に内奥まで貫かれた。バチンと二人の下肢がぶつかる音がする。
「あ――ぐ……あっ……」
「はぁ……キツい」
拓也が気持ちよさそうな声を出した。
緩く腰を引かれ、前立腺を潰すように先端で抉られて、全身がブルブルと震えた。
「裕斗も、気持いい?」
掠れた声で、気遣うように聞いてくる。
「き、もちいい、あ、あ」
「良かった」
拓也が体を倒してくる。より結合が深くなって、深部が燃えるように熱くなった。
彼の顔が近づいてきて、強く口を吸われる。
「ん――んんっ……」
唾液を垂れ流しながら、舌を絡め、互いの口腔内を愛撫し合う。
拓也の律動が激しくなる。彼の腹筋が、勃起している自分のものと擦れて、叫びたくなるほど気持ちが良い。
裕斗は両手を、自分の膝から拓也の背中に移動させた。ぎゅっと強く抱きしめる。
「裕斗」
切羽詰まった声で呼ばれた刹那、ズンと強く腰を入れられて、裕斗は絶頂に達した。頭が真っ白になる。拓也も腰を震わせている。痛いくらいに抱きしめ返され、朦朧となりながらも、確かに裕斗は幸せだった。
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