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「海ぃーーーーーーーーー!!」
別荘に向かっている途中で寄り道した海
間もなく沈むオレンジ色の夕陽に向かって叫ぶと、背中から大和の吹き出したように笑う声が聞こえた。
「何だそれ」
目を糸のように細めて笑う大和。
こんな、遊泳時期なんかとっくに過ぎた冷たい海で、はしゃぐ私に付き合ってくれる大和。
こんな馬鹿なお願いを聞いてくれる優しすぎる大和。
大和が好き
大好き
夕陽を見る大和も、私を真っ直ぐ見るその瞳も
全部大好きだよ。
「なんだよ」
好きという想いが顔に出てしまっていたのか、恥ずかしそうに目を逸らされる。
「なんでもなーい」
私も急に恥ずかしくなって、つい嘘を付いてしまう。
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