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少年は、人間ではない。名を、ルクルという。ルクルは、神の子だった。天上界から人間界に堕とされた、神の子だ。全知全能の神になるために、下界で修行をせよと、天上界の御偉人から命じられて、有無を言うまもなく、堕とされたのだ。御偉人とは、ルクルの父である今の神に仕える者たちの総称だ。生まれてこのかた、ルクルは父の姿を見たことがない。それが本当に父なのかも分からない。しかし確かなのは、御偉人がルクルに伝える言葉は父の言葉。しいては神の言葉であるということ。神の子どもは、神ではない。ルクルにとって、御偉人の命は絶対であった。
猫は、猫ではない。ルクルの兄だ。ルクルと共に、下界に堕とされた。なぜ猫の姿で、ルクルの側にいるのか。それは彼が、過去に大罪を犯したからだった。彼は自分の行動の何が罪に触れたのか、全く理解しておらず、それが明るみとなり、神の逆鱗に触れたのだ。彼を猫の姿に変えた御偉人は言った。「神の子よ、汝がまことの心に気づきし時、その御体は、仮初の姿から解き放たれるであろう」と。
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