八百万のキュリオシティー

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 ティアがルクルの手から尻尾を引き抜き、再び椅子にぴょんと飛び乗ったとき、ペットボトルの中の炭酸水が、まるで沸騰し始めたかのようにぼこぼこと揺れ始めた。 「やっと来た!」  ルクルが瞬時にペットボトルを手に取り、キャップを開け、中身を一気に飲み干した。五百ミリリットルのペットボトルに入った炭酸水を、息継ぎなしで全て飲み切るというのは、なかなかに骨が折れる行為であった。喉が刺激され、息が詰まりそうになる。口腔内が炭酸の刺激でヒリヒリと痛む。飲み終えた時には、彼は涙目になって、咳き込みそうになるのを必死で堪えていた。 「毎回思うけどさ、それ、なんとかならねえのか? 結構キツイんだろ」 「ぶはあっ! ……仕方ないよ、僕たちはまだ、御偉人のいうことを聞かなくちゃならないんだから」
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