夜風

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並んで歩く帰り道。 草の匂い。 コンビニで引いた汗がまた出てくる。 互いの息遣い。 サンダルの足音。 「どうして愛しちゃいけないの?」 夜風が吹く。 「だって…」 アイスの棒を握る。 「いつか私が死んだら、  悲しくなるでしょ」 「いつか死ぬの?」 「うん」 「病気?」 「違うよ。  でもいつかは死ぬでしょ」 「そんなの、  俺もだけど」 「私は悲しくない。  多分もう、  誰が死んでも悲しくない」 多分、もう…? 「それだけじゃない。  私が苦しんだり、  嫌な思いをしたときに、  そっちまで苦しんでほしくない」 「そんなこと」 「大事な人がつらかったら嫌でしょ?  嫌な思いしてほしくない。  私のことで傷ついてほしくないの」 彼女はもしかして。 「大事な人を、  失ったことがある…?」
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