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【 >ENDING:Route B 】 『二回目』の僕は、友人と彼女と校舎へ戻ったあと、チュートリアルをどうにかこなし、正規版をダウンロードしてトーナメントへの参加登録を済ませてしまった。  友人がいたせいか、もしくは既視感が在ったゆえか、僕は『初回』の……『二回目』の何も知らない僕にとっては夢か定かじゃないあの一箇月より楽に終わらせられた。  友人もチュートリアルを無事クリア、正規版をダウンロードした。僕へ降参して僕の仲間となったのでトーナメントへの参加資格は早々に消えている。彼女は、『二回目』もメール受信初日はチュートリアル参加しなかった。僕がさせなかった。  今回は友人もいる。彼女の手を煩わせる必要は無いと思った。僕としては、彼女には安全なところにいてほしいと思っていたから。……エゴかもしれないが、あの一箇月、彼女がトーナメントで僕の服属して参加していた時分はそれなりに危険だったのだから。  ……まぁ。この僕の健闘も虚しく、彼女はまたも参加者となってしまうのだけど。  彼女と、今度は友人と、あの隣の高校の強者を下し、仲間を増やして、再びヤツへ挑んで行った。 『二回目』。あの一箇月の真偽は措いて、ほぼ僕の記憶と変わらない出来事が起きた。友人がいるので、ところどころ違ってたけれども、筋としては同一と言って良い。 「終わりだよ」 「……」  そうこうして、僕は再度ヤツを倒した。  ヤツの講釈も、僕の決め手も、仲間と分かち合う勝利も、何も彼も同じ終わり方──────差を見付けるとすれば大きくは友人がいること。小さければ、僕が楽だった、ことくらい。  僕が言うことが、だいたい当たるので信頼が過度になった……風に感じるくらいか。仲間が、みんな僕のことをリーダーだと祀り上げたくらい。前回、『初回』は強者の彼が纏め役を買っていた。今回は、……『二回目』は、僕を持ち上げる人間が多かった。  僕はふと、終わったことへのうれしさから満面の笑みを浮かべてはしゃぐ友人に、もしかして、僕は友人を助けたかったんじゃないかと推察した。 『二回目』の僕は『初回』の一箇月が繰り返しなのか追体験なのか予知能力なのか、判断が出来なかった。だけど、友人が死んだあの日、僕は事実を知ってショックを受けていたから。  メールの文面を思い出す。“賞与特典(ボーナススキル)が在る”と書いて在った。コレがそうなのではと。  やり直すチャンスを、僕の友人が生きていれば、と言う願望が引き寄せたのではないか。  浮かれていた僕はこう考えていた。……今になってみれば、何とお気楽なことだろう。  ……この想定は。  半分当たって、半分外れた。  賞与特典(ボーナススキル)は、  やり直すチャンスなんかじゃ、無かったんだ。  僕の頭の中で、声がした。 “おめでとうございます” “ボーナススキル、発動します” 【 >NOW LOADING... 】
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