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>GAME OVER:2
【 >GAME OVER:2 】
「何だよ、アレ……」
友人の呟きに僕は失望を抱く。何でだ。どうしてだ。こんな思いでいっぱいになる。
ヤツを殺してまで、僕は始まるのを止めたはずなんだ。だのに。
“残念。ゲームオーバーです”
無情にも、僕はまた『ここ』……『初日』に引き戻された。
どうしたら良いのか、僕にはもうわからなかった。だって、一箇月だぞ? 再度おとなしく一箇月始めなきゃならないのか。
真の黒幕を倒せば良いのだろうか。あの、ヤツが言った非実在少女? や、実体化しているのなら非実在ではないのか。
どこに行けば倒せるんだ。そもそも、倒せば、このループは終わるのか? てか、本当に元来の敵はその少女なのか。また、違うんじゃないの─────考えが纏まらない。
推測は推測に過ぎず、更に確証も無ければ確信も無い。……と言うか。
疲
れ
た
。
その一言に尽きる。もう疲れた。僕は顔面を両の手で押さえる。次第に力が籠もり爪が食い込む。
「……おい」
手首を掴まれ引かれ、呼ばれた僕は手を放す。顔を向ければ、友人が顰めっ面で僕を見ていた。
「顔に爪跡付いてるぞ? 大丈夫か?」
何も知らない友人は、黒い染みより、ただならぬ様相の僕のほうが気懸かりだったらしい。笑えて来た。
「は、」
「……」
「は……はは、ははははは」
「ちょ、お前、しっかりしろっ」
心配する友人も放置して、僕の笑い声は大きくなる。大笑いする僕を、友人は戦々恐々として見詰めている。誰が見ても『狂人』だと思うだろう。
「……」
いっそ狂えたら、どれだけ楽だろう。友人が、僕を下から、窺い見て来た。
「……落ち着いたか?」
恐る恐る僕を覗き込んで尋ねて来る。莫迦だな。怖いなら、僕を、見棄てれば良いのに。
この友人ですら、憶えていてはくれないんだ。必死に生きた、一箇月を。
「……ごめん」
「え、」
僕は友人を突き飛ばすと。
「────おい……っ」
友人がいる方向とは反対の柵へ走り寄り。
「────」
躊躇は一瞬。
僕は柵を飛び越えた。
地面に叩き付けられた僕。これでどうなるのか。薄らぐ意識。
そのとき。
“残念。ゲームオーバーです”
“ボーナススキル、発動します”
僕の頭の中で、声がした。
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