犯行声明文

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犯行声明文

【アメリカ合衆国大統領閣下および司法庁長官、連邦捜査局およびマイアミ・デイド郡警察、そしてマイアミ市警察へ告ぐ―― 地球外知的生命体だ。宇宙人だ。目の前に宇宙人が現れたのだ。私は十五歳の誕生日を迎えたばかりだった。あれは十六年前のとても蒸し暑く寝苦しい夏の日の夜だった。今でも私は鮮明に思い出せる。あの日は朝からずっと小雨が降っていた。 恐らくは人間がどうにか聞き取れるのだろうぎりぎりの周波数帯の不思議な音が、私の内耳を激しく震わせた。誰も手を触れていないというのに、部屋の窓が極めて滑らかな感じに開いた。 私はベッドから起き上がることが出来なかった。眩いばかりの光が部屋の中へ射し込んでくる。 光に包まれながら空中にホバリングするUFOが見えた。UFOから、銀色の衣服に身を包んだ宇宙人が姿を現した。宇宙人は直立したまま重力を自在に操りながら部屋の中へ降り立ち、そして私のベッドの脇に立ったのだ。
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