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翌日。
お寺で大智の葬儀が執り行われた。
大勢の参列者がいる中、麗奈は誰かと立ち話をしていた。
相手は、父の葬儀で見掛けた建設会社の人だ。
葬儀のあとに待っているのは、火葬だ。
最後の見納めで、香鈴は大智の顔をしっかりと目に焼き付けた。
棺を乗せた台車が火葬炉に入れられていく。
それを見送りながら、香鈴は周平の腕を強く握った。
一時間ほど経って、火葬炉の扉が開いた。
ゆっくりと出てきた台車に、参列者達がざわめきだした。
人型をかたどるように、白く、小さな欠片になった大智には、あるものがなかった。
頭蓋骨の部分だ。
まるで最初から頭だけがなかったように、小さな欠片一つも残っていない。
「……大智もなんて」
香鈴は言葉を詰まらせると、周平の肩に顔をうずめた。
火葬のあと、こうなっていたのは大智だけではない。
祖母も、父と母も同じように、なぜか頭蓋骨がなかった。
この不思議な現象もまた、亡くなった家族全員に共通するものだった。
「きっと、頭の部分の火が強すぎて燃えちゃったんだよ」
周囲の不安を一掃するように、麗奈が言った。
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