仲直り

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息遣いがかかるような近い距離感で、見つめ合う。意味ありげに「わかってると思うけど、」と、開きかけたカタチのよい唇に自分のそれを重ねて黙らせる。 わかってると思うけど?わかってるに決まってるでしょ。 驚いているアオイを無視して、お望み通り半開きのそこから、するりと舌を滑り込ませた。 あんなに緊張していたのに触れた瞬間から、のめり込む。今もドキドキは止まらないのに、もっと触れたいという欲望が湧き上がってくる。 あたしがそんなことをすると思っていなかったのか。もう一度、驚いたように反応したアオイが繋がっているそこで、ふふふ。と満足そうに笑った。 負けるもんか、と思っていたけれど、そこからはもうアオイのペース。腰にまわされた手で引き寄せられたかと思うと、深く濃厚に酔わされた。 角度を変えて交わる度に厭らしいリップ音が響き、一瞬のうちに頭はくらくらとして真っ白になる。けれども、それがここちよいので困る。 久しぶりの感覚に、溺れてゆく。まだ足りない、と。まだ欲しい、と。離れていた時間を取り戻すように、ただひたすらに求め合った。
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