てるてる坊主は、誰かの死体。

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「とりあえず、なんか頼もうか。私はピザが食べたい。姉ちゃんは?」 「私も食べる。あ、このパスタも美味しそう。一緒に食べよ」 「うん。あと、飲み物は烏龍茶と……姉ちゃんはいつもの?」 「そうね。いつものノンアルコールビールで」 「出た。『昼間のビールは至福の時』って奴。ノンアルコールでも適応なんだね」  そんな仲睦まじい会話を繰り広げたあと、私たちはすぐにオーダーをした。 「それで、さっきは新作でも考えてたの?」  なんとなしに尋ねると、妹は口に水を含んだまま首を振った。 「いんや……あの日のことを思い出してた」 「あの日って?」 「ほら、小さい時に姉ちゃんと公園で遊んでもらったことあるじゃん? うちの近所の団地でさ」  そう言って彼女は遠い目をしながら窓を叩く大粒の雨を見つめた。 「雨」と「団地の近くの公園」この二つのキーワードでもすぐにわかった。  このザーザー降り続ける雨音だけでも、簡単に想起できる。それが、たとえ二十年以上前の話であっても――……。
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