うれし泣き

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お墓には小4の時に一度だけ連れて行ってもらった。 電車を何本も乗り継いで、家から2時間ぐらいかかった。 病院の端にある十字架は、まわりにたくさん木が植えてあって、少し暗いけど、涼しくて風に揺れる葉っぱの音が、大勢の人のささやきみたいだった。 急に雨が降ってきたので通用口の庇の下で雨宿りしながら雨の音を聞いていた。 「お母ちゃんが喜んでうれし泣きしとるんやなぁ」お祖母ちゃんがぽつりと言った。 「そうなん?」 「日向子が来てくれたんで嬉しいんやろ」
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