Belgian chocolate~恋とフーガ 番外編2~

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かさかさ音がする。 ちゃぶ台の上だ。 ゆり子はもう起きているのか? 肌に触れる生温かさが無いので、 ゆり子はもう隣にいないのだと分かる。 じゃあさっきから、ちゃぶ台の上で音を立てているのは なんだろう。 紙の音だ。 そんなもの、あれ以外に昨日はなかった。 もしかして。 起き上がって振り向くと、ゆり子は驚いた顔をして口を隠した。 「おはよう」 きまり悪そうに笑う。 色白の顔が、少し見えている頬のあたり、ほんのり赤い。 口の中に何か入っている。 ちゃぶ台の上には水色の箱と、チョコレートの包み紙が1つ分。 「おいしいわね」 箱は蓋が開いていて、 ゆり子はそこから親指と人差し指で 一つつまんで金色の包み紙をむき始める。 -結局、食べたんだ。 「おはようございます」 自分が受け入れられたようで嬉しかった。 顔が自然とほころんでくる。
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