1人が本棚に入れています
本棚に追加
かさかさ音がする。
ちゃぶ台の上だ。
ゆり子はもう起きているのか?
肌に触れる生温かさが無いので、
ゆり子はもう隣にいないのだと分かる。
じゃあさっきから、ちゃぶ台の上で音を立てているのは
なんだろう。
紙の音だ。
そんなもの、あれ以外に昨日はなかった。
もしかして。
起き上がって振り向くと、ゆり子は驚いた顔をして口を隠した。
「おはよう」
きまり悪そうに笑う。
色白の顔が、少し見えている頬のあたり、ほんのり赤い。
口の中に何か入っている。
ちゃぶ台の上には水色の箱と、チョコレートの包み紙が1つ分。
「おいしいわね」
箱は蓋が開いていて、
ゆり子はそこから親指と人差し指で
一つつまんで金色の包み紙をむき始める。
-結局、食べたんだ。
「おはようございます」
自分が受け入れられたようで嬉しかった。
顔が自然とほころんでくる。
最初のコメントを投稿しよう!