普通

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普通

今井先生は何者なんだろう? 突然病休になった先生の代わりにやってきた社会科の臨時講師。 いつもニコニコしたガタイのいい爽やかなゴリラ… それが月子の今井に対する情報の全てだった。 屋上で話をしたあの日から、今井先生から目が離せなくなった。 先生はたぶん知っている… 私が普通じゃない事。 私も知っている今井先生も… 先生が私の手に触れた瞬間に感じたのは 凍りついた刃物を頸動脈にあてられたような冷たい緊張感 なぜだろう? 怖かった。 それなのに先生に近づきたいのは、私よりも私のについて知っているのではないかという淡い期待だった。 先生が手首につけていた水晶のブレスレッド… アレを手から外した時だけ、私は先生の感情を感じとる事ができた。 アレはなんだろう? どんなに他人の感情を読み、上手く取り繕ったところで私はドンドンすり減っていく。 剥き出しの他人の感情は、私の心を容赦なく傷つけた。 しかしソレに対して私は文句を言う事すらも許されなかった… 私が、ただ勝手に相手の頭の中を見ているだけだから そんなものは見たくもないのに。 誰にも理解される事もなく、芙美以外には誰にも言ってはいけない事… 芙美と指切りをして約束した事… どんなに充実した学校生活を演じても、私の本性がわかれば、みんなは手のひらを返すように私から離れていく だって私は怪物だ。 ねぇ先生 先生は人間ですか? 私と芙美のような怪物ですか?
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