エロ親父

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エロ親父

長距離パートがロードワークから帰って来ると短距離パートはもう練習が終わり解散していた。 石橋は月子の様子を聞こうと結城を探したが、既に葵に連行された後らしく姿が見えなかった。 まぁいいか… と思いその日はそのまま帰る事にした。 次の日、結城を捕まえると昨日の月子の様子を尋ねた。 「イヤー月子ちゃん、なかなか走るフォームが独特でねー… 俺的には、可愛いから何でもOKなんだけど。」 コイツ全然懲りてねーな… 再び呆れてため息が出たが、そのポジティブさは羨ましかった。 部活が始まり、最初は部員全員で一緒にアップをする。 石橋は月子のランニングフォームをチェックした。 足は後ろに跳ね上げられ力が逃げてしまっているし、腕は前後ではなく左右に振られている。 アニメの女の子キャラが走っている様な 感じだった。 酷いな… 何を見て今井は彼女を陸上部に推薦してきたんだろう? どうせエロ眼鏡で足しか見てねーんだろうと心の中で毒づいた。 アップの後、月子と杏奈を呼び出して別メニューをかした。 「水上さんのランニングフォームを少し直したいから今日は杏奈について練習してくれ… 結城には話を通しておくから、杏奈よろしく頼むぞ。」 2人は、はい と頷いた。 揉め事を増やしたくなくて、結城ではなく立石に水上を投げてしまった。 立石は一年生ながら陸上部の期待の新人 だし、何でもそつなくこなす。 彼女なら嫌がらずやってくれるだろうという甘えがあったのも事実だった。 たぶん水上はすぐに辞める事になるだろう。 しかしそんな俺の考えは杞憂に終わる… 水上は白い肌が日焼けで黒くなるのに比例して急成長を遂げた。 以前のフォームも改善され今は自然と目が惹きつけられる程、綺麗になっていた。 まるで雲の上を走っているように、しなやかで軽い… スゲーな とため息が漏れた。 そして石橋は、今井をエロ親父と心の中で馬鹿にした事を少しだけ反省した。
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