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1.温風至 (おんぷういたる)
なぎさ:温風じゃないよぉ。熱風だよぉ。
わたし:まあ、温風ヒーターが吹き始めると思えば……
なぎさ:うああ! それキツイな!
わたし:じゃあ、恒例の小暑を各句に置いて詠もう! この間行った国立博物館の写真から。
小暑の池淀みて雲の影もなし
なぎさ:ホントか? 雲映ってんじゃないの?
わたし:ま、そこは芸術的真実ってことで。
なぎさ:反論する気にもならないです。じゃあ、あたしは中の句ね。
面なじみ小暑となりて返信す
水着買うってしたかったんだけど、季重なりだし、あざといかなと。
わたし:だね。じゃあ、下の句を。
土をこね絵付け焼きたる小暑かな
なぎさ:これ織部だよね。あたしだって知ってるし、わかる。……そっかぁ、土をこねるところからの感触・感覚を見る人に共感させてくる焼きものなんだ。
わたし:そう。古田織部は別に奇を衒ったわけじゃなく、ぼくはおもしろく作ったんだよって伝えようとしたんだ。
なぎさ:これは織部かどうか忘れたけど、いいよねー。
わたし:なぜいいの? どこがいいの?
なぎさ:わかんない。でも、目が惹きつけられた。
わたし:これはすごい。……彫刻は頭を上下させながら一周しなきゃいけない。というか、そういう楽しみがあるよね。
音楽の聞こえる木彫り夏盛ん
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