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冷えきったスケートリンク上空には靄が漂い、もう夏だというのに涼しさが増した。
隣から声が聞こえた気がして、ドリンクを飲むために上向きにしていた頭を下げて日渡佐玖を見る。佐玖もちょうど水分補給に来ていたようで、ドリンクボトルを握りしめたままこちらを見ていた。
「今、何て言った?」
すると佐玖は、表情筋一つ動かすことなく、むべもなくその言葉を並べる。
「阿希良のことが好きだから、付き合ってほしいんだけど」
もうすぐ長い夏が始まろうとしていた。
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