フェイスオフ

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   *  あの日以来、佐玖からの接触はない。元々接触などほとんどなかったのだからあるはずもないのだけれど、俺自身には少し、いや大きな変化があった。  合同練習や試合のとき、佐玖をよく観察するようになった。佐玖は体も大きい上にホッケーが上手いので、今までもよく見てはいたがそれ以上に視線を向けてしまう自分がいる。氷上でもそれ以外でも、どこにいても。  たまに、告白されたときのことを遠い昔のことのように思い出す。もしかしたらあのとき隣にいたのは偶然ではなく、水分補給に来るタイミングや、二人きりになるタイミングを見計らっていたのかもしれない。  帰りなどすれ違うことはあるが、お互いチーム仲間といることがほとんどで、 「お疲れさまでしたー」 の挨拶くらいしか交わさない。  実際、二人きりになったのはあのときが初めてだったと思う。スケートリンクで告白されたこと自体初めてだったが、悪くないなと思った。自分のテリトリーだから落ち着いて言葉を飲み込めたような気がする。  告白を断っておいて難だが、やっぱりもう少しお互いを知った方がいいのではないかと思うようになった。聞きたいことが山のようにある。  いつから俺を好きで、いつから告白しようと思っていて、いつからホッケーを始めて、ホッケーのどんなとこが好きで、ホッケーをいつまで続けるつもりか、とか。ほとんどホッケーの質問になってしまい鼻で笑う。  
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