フェイスオフ

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「佐玖は体が大きいし、まだまだ上手くなるよ」 「それは阿希良もでしょ」 「たぶんだけど、身長は期待できないなあ」  困ったように笑う。両親も祖父母も体型はいたって一般的だったので、身長や体型への過度な期待は禁物だった。 「いや、もっと上手くなるってこと。阿希良のミサイルみたいなシュートめっちゃ好きだよ。あれ打てるようになりたいな。ズドンって」 「そお?俺は佐玖の雷みたいなドリブル好きだよ。パック受け取ってからのスタートが速いし、稲妻みたいだなぁっていつも見てる。大人しい顔してるのにギャップ萌えってやつだな」 「萌えって……」  佐玖は、あははと軽やかな笑い声を上げた。笑いすぎて目がなくなっている。こんな佐玖を目の前で見るのは初めてで、目のやり場に困った。若干、バレないように目をそらす。 「佐玖は雷タイプってとこだな」 「何、雷タイプって」 「タイプわけすんの、いつも。そんなつもりなかったけどいつの間にか自然にそうなった」 「へぇー、他に何があるの」 「ざっくりだけど、水と風」  佐玖は身を乗り出して聞いてくる。 「どう違うの」 「雷タイプは行くぞ!って闘志ギラギラな感じで、風は落ち着いてるバランスタイプかな。行くときは行くけど冷静な感じ。水タイプはなー、俺が一番苦手なタイプ」 「どんな風に?」 「闘志が見えなくて音がほとんどない。気がついたらそこにいるタイプ。川の水の流れみたいにするする抜けて行く感じかな」  
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