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武尊とは幼馴染みで、中学の頃からつるんでは、可愛らしい悪さから、人の道に外れた悪事まで共に経験して来た間柄だ。
「今度は何だ? 義理か? メンツか?」
声を潜めて武尊の横顔を伺い、徹は、テーブルの下へ隠すよう、茶色い紙袋を武尊にそっと手渡した。素早く受け取り、そのズッシリとした重量感に頷きながら、
「ま、そんな処だ……恩に着る──」
紙袋を懐に収めた武尊は、代わりに封筒を取り出すと徹に手渡した。
運ばれて来た酒を、一気に煽ると武尊は席を立ち、
「……阿修羅じゃ無い、不動明王だ──」
肩越しに振り返り、徹に別れを告げると、ゆっくり歩き出した。
「無茶すんなよ──」
出口へ向かう、細っそりとした武尊の背中に、徹は苦笑いで声を飛ばしたが、その声は店内の陽気な喧騒で、瞬時に掻き消されてしまった。
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