6人が本棚に入れています
本棚に追加
生きていくのは面倒な事だ。
食べて、寝て、息をして
食べて、寝て、息をして
その単純作業の繰り返し。
自分の場合、それに男たちの欲望を満たす仕事が加わる。ただそれだけの事。
ある裕福な家庭で育ったプラナ=アストゥムは15歳の時、親の仕事が上手く回らなくなり家庭が崩壊した。
中等部の宿泊カリキュラムから屋敷に戻ってきたプラナは、人も、家具も、その他もろもろ全て無くなった屋敷を見て呆然と立ち尽くした。
一家全員が夜逃げ。
おかしいとは思っていた。
家計が火の車なのは知っていた。
なのに金の掛かる宿泊カリキュラムに無理矢理行かされたのが。
後で聞いた話だが、カリキュラムの金も「後で払うから」と支払われてなかったそうだ。
普通の子供なら為すすべもなく立ち尽くすか
家族を探しにいくかするのだろうが、自分にはそれがなかった。
ああ、居なくなったか。
そう思っただけだった。
プラナは、物心ついた時には既に人間としての感情が欠落していた。
父親の愛人の娘…。
家族の中で、唯一誰にも似ずに無愛想な末妹。
そんなプラナが家庭に溶け込めるはずもなく、家庭崩壊と共に廃屋となった屋敷に打ち棄てられたのだ。
最初のコメントを投稿しよう!