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長い旅だった。
ギルドは東の地、イーステリアにある。
ここは西の地ウエスタンス。
ちょうどギルドとは真逆の位置となる。
イーステリア方面に向かう馬車の荷台に登り、木箱に掛けられていた革製のシーツの下に身を滑り込ませ馬車に忍び込む。
上手い具合に馬車は発車し、プラナは生まれた街を出た。
三日ほど馬車に揺られ続ける。
木箱の中身は運良く乾物や干し肉、水といった食料品だった。
馬車に乗っている間それらを平らげ生活する。
糞尿は水を飲み干した革袋に詰め込み、音がしないように葉や土の上に放り投げた。
売り物であろう動物の毛皮を毛布に、車輪の音と揺れを子守唄に眠りについた。
こうしてプラナは東の地、イーステリア
ギルドのかなり近くまで来ることに成功する。
補給の為に停車したタイミングでプラナは素早く馬車を降り、草陰に身を隠した。
運転士が一人だったのが幸いした。
運転士に気づかれる事なくプラナはその場を離れた。
森の中にある整備された道を歩き続ける。
馬車の中から森を見たとき、まるで城塞のような巨大な建物が見えた。
多分、あれがギルドだろう。
十中八九の確信を持ってプラナは森を歩き続けた。
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