(二)

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「ほう賊退治でござるか。ならば拙者もお力添えをいたそう」 「その気持ち嬉しいが、結構にござる」 「まあ、そう言いなさんなって。剣術の修行もして参ったし、元々弓矢も使える。足手まといにはならんと思うがのう」  そういうと、柏原衛守に谷川左内が近づき、ささやいた。 「この男、それなりの剣の使い手と見える。見ろ、刀の柄を」  二人は肥富数馬が腰に帯びている刀の柄を見た。かなり使い古されて、布が幾重にも巻かれており、手垢でかなり汚くなっていた。  なるほどと思った柏原は「わかった」と右手の拳を左手で打った。 「そなたの同行を許そう。相手はかなりの手練れだ。遅れをとるなよ」 「任せておくんなさい」  数馬はそう言って満面の笑みを作った。そして討伐隊の谷川と柏原を含め八名の討伐隊に加わり、合計九名の討伐隊の列が城門を出ていった。 (続く)
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