ジュアス様を蕩けさせるには

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ジュアス様を蕩けさせるには

わたくしは今、難しい課題に立ち向かおうとしていますの。なぜかわたくしがジュアス様に口づけて蕩けさせないといけなくなりました。ジュアス様はソファに座って、両手を広げて待っています。後は私次第という事なんでしょうか。 わたくしはジュアス様の膝へそっと横座りすると、両肩に手を掛けました。ジュアス様の肩は見かけよりもずっとガッチリしていて逞しさが指先から感じられます。きっと剣などもお上手なんですわ。わたくしはジュアス様の身体を撫で回したい誘惑に耐えると頬へ手を添えてまじまじとジュアス様のお顔を見つめました。 歳の頃は確か27、8でしたかしら。王家由来の混じりっ気なしの明るい金髪は、撫で付けられていましたが短くはありません。私を見つめる瞳はグレーと緑色が揺らめくような不思議な色をしています。嫌味なく整ったお顔に柔らかな印象を与える優しげな口元は、一方でとてもセクシーですわ。 わたくし、今までお試しのお相手の方のお顔を、こんなにじっくり見つめた事がないと思いました。お顔にはその方の真実の姿が投影されるとわたくしの中で囁きます。わたくしはジュアスの顔に一抹の哀しみを見つけました。わたくしは思わずジュアスに聞いていました。 「…ジュアス、何を哀しんでいるんですの?」 ジュアスは目を見開いて、わたくしと見つめ合いました。そしてごくりと唾を飲み込んで掠れた声で言いました。 「私は真実の愛など、絶対には手には入らないと哀しんでいたんだ、マリー。…でも君がそれを見つけたのなら、私はきっと手に入れる事が出来る筈だ。さぁ、続きを。」 そう言って少し目元を赤らめてジュアスは目を閉じました。わたくしは美しい瞳が閉じられて見れなくなったのを少し残念に思いながら、唇を寄せて口づけました。ジュアスの唇は硬い見かけよりもずっと柔らかく、押し付けるわたくしの唇を包み込む様な感触でした。わたくしの好きな唇なのは直ぐに分かりましたわ。 わたくしは思わず口元で微笑むと、ジュアスの唇を優しく食みました。わたくしが夢中になってジュアスの唇を楽しんでいるとジュアスが甘いため息をついたのがわかりました。わたくしは迷いなくジュアスの口の中へと舌を伸ばして、少し甘いタバコの香りのする柔らかな粘膜をうっとりと撫で摩りました。 わたくしの腰を支えるジュアスの手に力が入ったと思った瞬間、わたくしはソファに仰向けになって燃える様なジュアスの瞳に見つめられていました。
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